第3話 タカユキ
タカユキが「じいちゃんな。マサミには人に対して、もう少し優しさを分け与えることが出来る子になって欲しい。でも、マサミがごうまんな態度を取るようなら、他の人と喋る権利は無いと思っているよ」と寂しそうな顔をした。
マサミが「私は、あんまり人と喋りたくないだけ、それに人と対立したって面白くないし、でも、初対面で急に仲良くなるのはどうかと思う」とタカユキに伝えた。
タカユキが「昔の私の娘のお前の母さんだけど、マミと同じだ」と返事を返した。
マサミが「そうかな?やっぱり親子だから似てくるのかもしれないね」とタカユキに話し掛けた。
タカユキが「そうだな。お前の母さんも、お前と同じころにやっぱり人見知りだった。人と仲良くしたくても出来なくて」と昔の話を始めた。
タカユキは「もう私も年だから、この方腰まげてやっているから体力的にこの店を続けるのは辛い」とマサミに今の気持ちを伝えた。
マサミは「そうなの?じゃ、私がこのお店の経営を継ぐって言うのはどう?」と話をしたところで、マミが「あら?マサミじゃない?こんな所で何をしているの?」とマシダ電気のガラス戸を開けた。
マサミが「うわ、見つかっちゃった」とマミを見て、渋い顔をした。
マミが「タカユキさん。マサミ、何でこんな所に居るの?」と尋ねられて、タカユキが「私は何も悪いことはしてない。ただ、この子が、どうしても私の傍を離れたくないって言うものだから、此処に居させただけだ」とマミに今の状況を伝えた。
マミが「ほら?おじいちゃんだって困っているじゃない。どうして、こんな所に居るの?」ときつく言われて、マサミは「私、昔からおじいちゃん子だから、どうしてもおじいちゃんの代わりにこのお店をやりたいなって思ったの」と話を始めた。
マミは「もう。マサミ、帰るわよ」と腕を引っ張られて、マサミは「嫌だよ。私が、このお店をやりたいから、帰りたくない」とマミに楯突いた。
マミは「しょうがないわね?じゃ、私は一人で帰るわよ」と呆れた顔をしてマサミを見ながら帰って行った。
タカユキが「マサミは帰らないのかい?」と眉間にしわを寄せて尋ねた。
マサミは「それは嫌だ。だって、私はあの家に帰ったら、邪魔者扱いされるだけだもん」とちょっとイラついていた。
タカユキは「ほほほ、そうか。私がそばに居れば、落ち着くのかな」とマサミを見て笑っていた。
マサミは「そうよ。おじいちゃんといた方が、あっちの家にいるより数倍落ち着くもの」と笑って見せた。
タカユキは「じゃ、マシダ電気は安泰だな。私が居なくても、マサミが継いでくれるなら、もう安心だ」と顔がほころんでいた。
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