第14話 お揃い

人の波に乗ってシアターから出て、そのまま映画館の出入口まで進む。

瑠璃は春山の事が気に入ったのか、俺じゃなく春山と手を繋ぎ俺の前を歩いている。ロリポップパワーは凄まじいということを実感し、春山の瑠璃を想う気持ちがちゃんと伝わって安心した。

そのまま映画館を出ると思ったら、2人はグッズ販売店に直行する姿に焦る。5歳の物欲は果てしないという事を春屋は分かってない。

「おい、お前ら……って」

案の定ロリポップ特集で足が止まっていたが、欲しいと強請る姿ではなく。

「可愛いねぇ!」

「そうだね、これはロリポップ達が付けてた奴だよ〜」

「それも可愛いの!」

「うんうん、見てるだけで癒される〜」

「んー、癒される〜」

「真似っ子したね!」

「「ふふっ」」

仲睦まじくグッズを見ながら楽しそうにしている2人。俺の入る隙間はないみたいだが、いい兄ちゃんでもしてくるか。ひっそり2人の背後に行く。

「なんか、お揃いに出来そうなグッズねぇの?」

「えー、そしたらこのストラップとか…」

「瑠璃はこれ好きか?」

「うん、好き!」

「春山も好きか?」

「あ、す、好き!」

「お、おぉ、勢いすごいな」

「そんな事ないわよ!!」

「はいはい、じゃこれとこれな」

ストラップを2つ手に取りそのまま会計し、2人を映画館近くにあるベンチに誘導し座らせそのまま渡す。

「2人の想い出に…ってな」

「ありがとー、にーに!」

「ありがとう。でも私の分はお金はら…」

「いーよ映画代出してもらったし、これは俺の金で出す」

「………ありがとう」

春山は顔をうっすら赤くして、渡したストラップがある手を大事に握りしめている。そんなに欲しかったなら買って良かった。

瑠璃も嬉しそうにストラップを眺めている。

「そういえば、この光るブレスレットなんで持ってたんだ?」

「それは、入場者特典よ。だから瑠璃ちゃんが持つ権利はちゃんとあるし、笹原の分だってあるんだけど」

そう言って、春山は俺の前に光るブレスレットを出してきた。

「俺にはいらねぇかな」

「いらないって何よ!!」

「俺にはってことだよ!その分は春山が貰っとけよ」

「……いや、私も間に合ってるから。瑠璃ちゃんにあげるわ、笹原がちゃんと持ってあげといてよね」

瑠璃はまだストラップに夢中な為、俺が代わりに受け取る。

「今日は色々ありがとな」

「いや、別に笹原の為じゃなくて瑠璃ちゃんの為だから」

「それでもだよ」

「あー、そう、ならもっと感謝していいのよ」

「ふっ、なんだそれ」

笑っていると瑠璃が不思議そうな顔をして俺の顔と春山の顔を交互に見てくる。

「にーにとおねぇちゃん、仲良し?」

「「仲良くない!!」」

「ふふ、仲良しなの〜」

思わず2人揃って大声を出してしまい、瑠璃に笑われる。

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「あくまで、対象年齢でしょ!」というJKは妹の推し活仲間になった件 花見 はな @secret-garden

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