第13話 推し活開始!
泣き止んだ春山も無事立ち上がる、そのまま向かう前に念の為時間を聞く。
「春山、映画何時から?」
「えっと……、13時」
急いでスマホの時間を確認する、そこには12時50分の表示が出ている。このショッピングモール着いた時点で12時だったし、なんやかんやあったから仕方ねぇけど時間がなさすぎる。
「瑠璃ちょっと掴まれ、春山はチケット出してダッシュしろ!」
「にーに…、わっ…」
「えぇ、ちょ、ちょっと待ってよ〜!!」
瑠璃を抱き上げそのまま入場口に向かった。春山はなんか叫びながら俺の後をちゃんと追ってきている。俺の方が先に入場口に着き、3秒後くらいに春山も到着した。春山は手に握りしめた3枚のチケットを息が上がったままスタッフさんに見せ、そのまま先に進んだので俺らも一緒に進む。
「どこのシアターだよ?」
「ハァハァ、1番奥の左側、シアター5」
「了解」
バタバタとは走れないので早歩きで行き、シアター5に入っていく。ほぼほぼのお客さんがいる為、全視線を浴びながら座席を探す。もちろん、コソコソした声で。
「どこだ?」
「Hの真ん中らへん」
「あー、わからん、もう春山が先行け」
「えっ、ちょ……」
何言いたげな春山に途中で先頭を任せそのまま歩く、真ん中の席を取っていたらしくHの列に着いてから皆さんに頭下げながら狭い通路を進んでいく。
少しして春山が止まり席に着いたみたいだ。
春山、瑠璃、俺の順に座っていくがもう暗くなってしまった状態で映画館に入ってしまった為、瑠璃が少し怖がっている。席には座れたが俺の手を掴んだままだ。
「瑠璃、大丈夫だから」
「んーん」
「瑠璃ちゃん、これプレゼント…」
そう言って春山が瑠璃に渡した物は光るブレスレットだった。瑠璃はキラキラ光るそれに夢中になり、俺の手を離し春山の方へ体を向ける。
「キラキラ」
「そう、これでロリポップを応援するんだよ!」
「わかったの!」
瑠璃が落ち着いたので安心したがそれはなにか聞こうと春山の方を見ると人差し指を口元に当て静かにというジェスチャーをされた。
何故か動悸が止まらなかったがそのままスクリーンの方を観るしかなかった。
映画の予告もそこそこに魔法少女ロリポップ★キャンディの本編が始まる。瑠璃と俺にとって応援上映じたい初めての事だったが、周りの人が声をだし応援すると瑠璃も小さな声だが応援していた。まぁ、その奥にいる春山は堂々たる声で応援していたが。
「がんばれぇ、ロリポップ!」
「がんばれーー!!負けるなロリポップ!!」
ブレスレットがぶん投げられそうな勢いだった。
ラストに連れ感動的な場面が多くなり、会場全体も鼻をすする音が響いていたが瑠璃と春山も一緒に号泣している。
俺はとりあえず寝ずに観れた事に安心した。
そのままエンディングが流れ、映像が終わり次第明かりが着く。
「とりあえず行くぞ……って」
2人を見ると推し活に全力を出したせいか放心状態のようで動かない。
なんで2人揃ってなんだよ、あー、もうめんどくさ。
「おーい、他の人も出るんだから動くぞ!」
「あっ、にーに」
「えっ、そ、そうね!」
さて、この後どうするものか。
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