第12話 打ち解ける?

以前として俺らから距離を取る春山に、少し人見知りして俺の足に隠れている瑠璃。

会う前まですげぇ楽しそうにしてたのにこれは予想外だ。特に春山なんて妹目当てで俺の事を呼び出していたくせに。

ただずっとこうしている訳にも行かないし上映時間も近づいてる、もう俺から切り出すしかない。

まず瑠璃の目線までしゃがみ人見知りと緊張を解していく。

「瑠璃、このお姉さんがロリポップが好きで瑠璃に会いたいって言ってくれた人なんだ」

「……」

「今からロリポップの映画観るけどそれもお姉さんが瑠璃の為に準備してくれたんだぞ」

「……うん」

表情がさっきよりは少し柔らかくなったが目が泳いでいて緊張しているのが伝わる。

んー、どうしたものか。瑠璃を見ながら思わず俺も黙ってしまう。考えたい事があるのに色々な人の声が思考力を奪っていく中、一際大きい声がすぐ隣で聞こえた。

「る、瑠璃ちゃん、元気ない……もるもる?」

隣を見るといつかの時みたいに顔を赤くした春山が俺と同じ様にしゃがみ、ぬいぐるみを瑠璃の目の前に掲げている。

「お、おい、何してんだよ?」

「っるさいわね、この子はロリポップの妖精モルモル」

「だからなんだよ!?」

「この子の特技は色んな子とすぐ仲良くなる事なの!だから……」

瑠璃のために涙目になりながら話しかけきた春山、その気持ちを無駄にはしたくなかった。

「はぁ、…そういう事かよ

なら最初からだしとけ!」

「えっ……」

モルモルのぬいぐるみに視線を向けている、瑠璃ともう一度向き合う。

「このモルモルとお姉さんは瑠璃と仲良くなりたいんだって、瑠璃も仲良くなりたいって思ってるならお返事しないと…な?」

「………瑠璃も仲良ししたいの」

まだもじもじしながらではあるが、瑠璃は手を伸ばしてモルモルの手を握った。その様子に春山は感極まってる。

「る、るりぢゃん」

「ここで泣くな、周りから凄い目で見られてるから」

「ゔっ、ゔるざい」

「おねぇちゃん、痛い痛い?」

泣いてる春山を心配する瑠璃。もう心配はいらないみたいだ。

立ち上がりまだしゃがんでいる春山に声をかける。

「ほら、映画観に行くぞ」

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