第10話 ロリポップ準備
瑠璃と春山、俺の3人でロリポップの映画を観るのは夏休み最終日となり、その日まで自堕落に過ごそうと思っていたら春山からロリポップの勉強をしろと通知が来てしまった。
《まさかだけど、ロリポップの事何も観ないで映画行く気じゃないでしょうね?》
《そのまさかだけど》
《そんなの許されるわけないでしょ!
私のオススメ回送るから最低限それは観てよね!》
《だるいんだけど》
《ちゃんと観てこないとチケット代請求するわよ》
《わかりました、観ます》
《それなら良いの
じゃ、全部で20話分だからよろしくね!》
そこから一気に20話分の通知が溜まっていき憂鬱になった。
だがチケット代を考えると観るしかない、重たい指先を1つ目から順にタップしていく。ちなみにこの通知は1週間前に来ていたがダルすぎて何もしてなかった、ついに明日の昼過ぎに映画を観るが今は夜中の1時今日は徹夜確定だ。
送られてきた順番に観ていくと素人でも話の筋が分かりやすく入るような流れで驚いた。本当にロリポップの事が好きな気持ちが伝わってくる。
魔法少女はとりあえず3人、ロール・ポップ・キャンディ。悪事を働くサーカスという集団と常に戦っている、対象年齢は小さい子向けだが俺ら世代が観てもしっかり面白い。
なんだが小さい頃の俺自身が脳裏に浮かぶ、戦隊物にハマっていた時があったなと懐かしい気持ちになった。
最初はだるかったロリポップ鑑賞もなんだかんだ面白く、20話はいつの間にか観終わっていた。その分しっかり朝にはなっているけれど。
「うぅ、今日の映画寝ないようにしねーと」
背をぐっと伸ばし深呼吸をする。まだ時間に余裕はあるけれど、寝てしまったら起き上がれないのでそのまま朝飯を食おうとリビングに行く。
リビングには母さんと瑠璃の姿があった、瑠璃はいつも通りの朝だが学校以外で起きてこない俺がこの時間にリビングにいるのが不思議な様で母さんは変な顔をしている。
「おはよ、朝飯なんかある?」
「おはよー、にーに!!」
「えっ、あー、パンとかあるから適当に食べていいわよ」
「うぃー」
「凛太郎が朝起きてくるの珍しいわね?」
「んー、まぁ今日は特別だから」
「特別?」
「あのね、ママ今日は瑠璃、にーにとお出かけなの!」
初耳だと驚きの目で母さんが俺を見てくるが、知らないフリをしてパンとコーヒーを頂く。
「なるほどね…」
「だからママ今日は瑠璃可愛いかっこするの!」
「あら、いいわね!でもお兄ちゃんに手伝ってもらいましょ」
「はぁあ?な、なんで俺?」
「だって瑠璃と凛太郎のお出かけなんでしょ?」
「うっ、分かりましたやらせて頂きます」
「瑠璃、お兄ちゃんが可愛くしてくれるからなんでもいいなさい」
「わかった!!」
母さんには逆らえず、瑠璃の支度を手伝うことになった。瑠璃は今まで座っていたソファから離れ、俺の傍に近寄ってくる。
「お洋服はもう決めたの!」
自慢げな顔で見せてくれた服はロリポップのキャラTシャツとふりふりな紫のスカート。
「うん、可愛いな」
棒読みなのは許して欲しい。
「可愛いの!
でね、髪の毛はここで結んでほしいの」
そう言いながら両手を頭の上に持っていき、俺を見上げてくる。
「わかった、ロールみたいな髪の毛でいいか?」
「うん、魔法少女ロールちゃん…
にーに、ロリポップ観たの?」
いつもならキャラも分からずそのまま結んでるのに、さっきまで観ていたせいでつい言ってしまった。
「ま、まぁ瑠璃が好きって言ってたし……な」
照れ隠しのように頭をかきながら言うと瑠璃は大きな瞳を更に大きくして嬉しそうにしている。
なんだ、もう少し早く観ておけば良かったかもしれないと思ってしまうほどに。
「よーし、今日は兄ちゃんに任せろ!」
瑠璃を抱き上げ、徹夜の疲れなどぶっ飛ばし準備していく。
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