第9話 初電話!

昼間、母さんには秘密で瑠璃と春山と会うことを決めたが晩御飯の間瑠璃はソワソワして仕方なかった。

(あー、もうこれはすぐにバレる……)

俺の顔を見たあと、父さんや母さんをキョロキョロ見て何か言いたげにしている。流石に母さん達も不思議がり瑠璃に話しかけるがそれを俺が遠回しに止める為、飯食ってるだけなのに疲れる。

「瑠璃なんかお話したいことあるのか?」

「確かにいつもならご飯にしか目がいかないのに今日は変だわ…、熱でもあるのかしら?」

「おねつはないよ!でもね、あのね、にーにと…」

「あー、瑠璃ほら飯食べないなら兄ちゃんが食べるぞ!」

「あっ、そ、それはダメなのー!!」

遠回しじゃなくてもう無理矢理話逸らしてるな。でもそのおかげも瑠璃は飯に集中するようになり一安心だが、母さんからの視線が痛かった。

「凛太郎、大人気ないことしないの」

「まぁまぁ、これでちゃんと食べるならいいじゃない」

「すみませんでしたー。じゃ、ご馳走様」

気持ちなど全然入ってない謝罪をし、少し居心地の悪いリビングから逃げるように自室へ戻った。

「はぁ、疲れた疲れた…」

ベットに横になりスマホの連絡アプリを開き、上の方にある春山のアイコンをタップする。

昨日のやり取りを見ながら、瑠璃の許可が取れたことを伝えようと文を考えるが手が止まる。昨日みたいに鬼のような通知がくるなら、いっその事電話した方が早いのかと思う。そう思ったら、手がすいすい動いた。

《お疲れ、今後のことで話したいことあるんだけど電話できるか?》

すぐに既読が着いたが中々返信が来ない。

(なんかあったのか?)

数分たったあと短めな返信がきた。

《大丈夫》

返信が来たことに安心し、そのまま通話ボタンを押す。ワンコール目ですぐに出た。

「も、もしもし」

「あー、お疲れ。笹原だけど」

「…いきなり電話って、皆にこうしてるわけ?」

「いや、しないけど。今回は内容が内容だったから電話の方がはぇーと思って」

「あっ、そう、それならいいの」

「うん?まあ、それで瑠璃との事なんだけど瑠璃も会いたいってさ」

「えーーー!!うそっ、ほ、ほんと??」

いきなりの大声に耳がぶっ壊れそうになり、思わずスマホを遠くし耳をさすった。

「そうだよ、ほんとだよ!ロリポップの名前だしたらすぐ会うって」

「あぁ、やっぱりロリポップは全てを救うのよ……」

「そうか、それでいつ会うんだよ?

とりあえず会うとしか伝えてないけど」

「それは心配しないで!ちゃんと考えてるんだから!」

自慢気な声に最初からこっちが了承する流れで話進めてたのかと呆れてしまう。

「ロリポップの初期の映画が応援上映で近くのショッピングモールで観れるの、もう3人分のチケット用意したからそこで…」

「ん?3人分?」

「そうよ、いきなり2人っきりで映画は無理だからあんたも一緒に観るのよ」

「えぇ、それはきつい」

「ちょ、もう決めた事だから絶対よ!」

「くそっ、あー、もう分かったよ。

ここまできたら付き合うけど寝てても怒るなよ」

「それは…1万歩譲って了承するわ」

「はぁ、じゃあ日付は送ってくれそれでまた瑠璃に伝えとくから」

「ちゃんと伝えなさいよ!」

「わかったわかった、じゃ用件終わったからもう切るな」

「あっ……」

「ん、なんかあるか?」

「な、なんでもない。妹ちゃんによろしくね」

「おー、じゃあな」

「…また」

途中まで元気そうだったのに急にしおらしくなって、感情がジェットコースターみたいな奴だ。

でも一応話はまとまった為その日を待つしかできない。

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