第4話登校日①
昨日の春山とのトークを思い出し、頭が痛くなりながら朝の準備をしていく。久々に着る制服にぎこちなさを感じ、ネクタイをするのに時間がかかった。
(具合悪くなんねぇかな)
なんて思う心とは裏腹に腹は減り、リュックを背負いリビングに向かうといつもの賑やかな声が聞こえる。
「ママー、パパー、お腹減ったよ!!」
「あらあら、もうすぐだから待っててね」
「んー、はやく食べたいの…」
「瑠璃、ママが準備してるから待ってような。
そうだ、瑠璃の好きなロリポップでも観るか?」
父である【浩介】太めなフレームの眼鏡をかけ短めな緩いパーマの髪を少し揺らしながら、瑠璃の機嫌を取っているのを横目にリビングに入り自分の定位置に座る。
「おっ、凛太郎おはよ!」
「にーに、おねぼうなの」
座るやいなや声をかけられるが久々の朝早めということもあり、テンション低めに返事する。
「んー、おはよ…」
「相変わらず凛太郎は朝弱いなぁ、今日学校なんだろしっかりご飯食べろよー」
「でも朝1人で起きれたのは良かったわ。
もう少しで叩き起しに行こうと思ってたのよ?」
朝食をテーブルに並べながら母さんは呆れた目を向けてきた。
「それは、ちょっと勘弁して。多分死ぬ」
「ねぇ、ねぇ、食べてもいいーー??」
各々喋りうるさい食卓を囲みながら、テレビには瑠璃と春山も知っているのであろう魔法少女ロリポップ★キャンディの録画が流れている。
可愛らしい女の子が魔法で人助けするというアニメ通称ロリポップ。春山に会うからだろうかいつもは流れていても気にならないのに、今日は視界に入って仕方ない。
テレビからふと視線を逸らすと父さんと目が合った、変な顔をしている。
「父さん、変な顔」
ついそのまま言ってしまった、だが父さんは笑いはじめる。
「ふっ、変なのは凛太郎だろ?
いつもは興味なさそうなのに、そんな観ちゃって。」
「…、はぁあ?べっ、別にそんなことねーよ!」
一瞬で眠気が覚め、思わず立ち上がる。
「にーに、ロリポップ好きになった??」
「まぁ、落ち着けって」
「っ〜〜、ロリポップは分からん。んぐっ、ごっそうさん!」
立ち上がった俺を見る瑠璃のキラキラ光った瞳が痛く刺さるが、急いで残りの朝食を食べリュックを掴みそのまま外に飛び出した。
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