第62話

「ここでいい。こういうの、少し興味があったのよね。ここでやりましょ」

「上等じゃん」


 彰は公園の中にいくつか置かれている木製ベンチの一つを適当に選んで先に腰を下ろすと、女にも手招きをして座るように促した。


 女がくすくすと笑いながら隣に座ると、直後に彰は女の顎を引き寄せて、即座に唇を重ねた。


 この時間になると、遊具が極端に少ない為か、公園には子供はおろか、誰の姿も見かけなくなる。


 公衆トイレも外灯もない公園なので、完全に陽が落ちれば周囲は真っ暗になる。これからの行為を進めるには、ここはまさにうってつけの場所だった。


「人に見られたら、どうするの…?」


 唇が離れた後、甘ったるい声で女が言った。


「誰も来ねえよ」

「もし誰か来たら、見せびらかしちゃおっか」

「いいね、スリルあって…」


 女の慣れた言葉遣いに、彰は少なからず興奮を覚えた。


 再び女の唇に自分のそれを重ね、右手は豊満な胸に収める。左手で彼女の肩を引き寄せ、強く抱き締めた…その時だった。

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