第46話
「俺が思うに、九○二番は、ただ自分を痛め付けているだけだ。お前の考えとは、全く違った意味でな…」
「…俺は、そうは思いません」
「反省できるかどうかなんぞ、やった本人にしか分からん事だ。過剰に期待しない事だな、また裏切られるぞ」
と言って、近藤は自動切符売り場に向かい、時刻表と駅の案内図を見比べながら、八つ先にある駅までの代金を投入した。
出てきた切符を摘み上げ、ゆっくりと改札口を通ると、克彦を振り返った。
「そうだ、清水から聞いたぞ」
「何をですか?」
「一ヵ月ほど前、お前らの所のガキどもが、こっそり教官の人気アンケートとやらをやって、お前が一番人気だったらしいな」
「歳が近いという理由からでしょう。俺は別に、あいつらを懐柔していませんし」
「理由ならあるさ」
近藤は、自信たっぷりに言い放った。
「お前はガキどもを番号で呼ばない。だから清水は最下位だったんだ、この変わり者が」
近藤と別れた後、克彦は駅の正面にある商店街の入り口に入った。
こぢんまりとした商店街だった。八百屋に肉屋、クリーニング屋、魚屋…どの店もごくごく小規模で、店先に立つ主人達の顔が少し冴えない。
どうやらここより少し離れた東口のショッピングモールに、客を取られつつあるようだった。
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