第33話

(二人とも、何で来るんだよ。来てんじゃねえよ…!)


 この時ほど、彰は辛いと感じた事はない。今、自分がここにいるのは自分だけの責任だ。この二人は『あの事件』と一切関係ない。それなのに…。


 そして裁判官が決定を言い渡した瞬間、二人はほぼ同時に彰の顔を見た。その時の二人の青ざめ、悲しみに暮れた表情を、彰は直視する事ができなかった。


「…少年は聴取の際、些細な質問にも興奮し、感情を抑えられない傾向があった」

「鑑別所で注意を受けても、反抗的な態度を取り続けた」


 審判室の中を、決定内容を淡々と読み上げる裁判官の言葉が広がっていく。彰は別にそれを否定する事もなく、静かに聞いていた。


 確かに警察でも鑑別所でも、読み上げられた通りの行動を起こしてきた。鑑別結果通知書に、審判で不利になるような事を書かれても仕方がないのだ。


「最後に」


 裁判官が、ごほんと咳払いをしてから最後の一文を読み上げた。


「…少年の起こした事件は、社会に多大な影響と不安を与え、刑事事件に相当するものである。事件内容については素直に供述したものの、刑事や刑務官らに対する態度から考慮して、感情のコントロールや対人関係の再構築についても重点的に教育・指導する必要性がある。よって、今回の結論となりました。分かりましたか?」

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