(2)[32~39P]
第32話
懲罰房での謹慎処分を受けた蓮井 彰は、壁を睨み付けながら正座を続けていた。
四方は壁だけ、便器と洗面台が設けられている部分を除けば、二畳ほどしかない狭さである。
そんな空間の中で、食事と排泄、六時間の睡眠以外はずっとこの姿勢を強いられるのだ。否応なく体力は奪われ、全身から大量の汗が流れ出てくる。
その上、食事の時間以外はくつわもはめられているので、私語どころか苦しさで呻く事すらできない。
(今、何時くらいなんだ…?)
彰は、内壁の高い位置にある奥まった窓枠に顔を向けた。
人の頭一つ分がやっと通るかと思われるほどに小さい窓枠にも、きっちり間の狭まった鉄格子がかけられ、まさに『ネズミ一匹たりとて』といった感じである。
そこから差し込んでくる太陽の光に、彰は少し顔をしかめた。
(狭い場所に、太陽か。まだ苦手だな、嫌な事ばかり思い出しやがる…)
†
「少年刑務所に送致・収監します」
平成十九年九月十一日。鑑別所から家庭裁判所に手錠をかけられたまま連れてこられた彰は、審判室に入ってからようやく手錠が外された。
後方にある席をふと見やると、『たんぽぽの園』の小林園長と教諭・橋本圭子が小さくなって座っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます