第8話 やがて夢になる日を願って

配信も20分を過ぎた。

時間としては良い頃合いなんじゃ?

でも爪痕が残せないなぁ。

最後のドカンと一発何かしたい


「よーし質問も返したし、まだ枠の時間あるし一発やっちゃいますか?」


ー????

ーどした

ー何???

ーん?

ー急だな

ーほう


「じゃーん」


リンさんに教えてもらったようにして、ゲーム画面を映す。


「流石にこの10分でFPSは出来ないのでエイム見てもらおうと思って」


爪痕を残せるかは分からないけど、まあ2年間趣味程度とはいえ頑張った成果を見てもらおうかな。


このゲームは至って単純。

目の前にランダムに出てくる的をヒットさせるゲーム。

ただ的は上下左右、さらには手前から奥側まで自由に配置されるのでヒット率を狙うのは凄く難しい。

しかも1分間というのが割と難易度を上げている。

この時間ずっと集中力を保ち続けるのは割と思っている以上にしんどい。


ーこれまあまあむずい

ーだいぶえぐいのやな

ーちゃんとガチ勢や

ーこれ使ってるは結構やり込んでるなぁ

ーゲーマー女子すぎん!?


「じゃ、スタート!」


まずは落ち着いてっと。

最初は簡単な場所にしか来ないからね。

冷静に対処すれば全部一発で。


おっと、危ない。

このゲーム油断すると終わっちゃうから、集中っと。




ちょっとずつ上下左右に揺られ始める。


「んーきつい」


まだギリギリ付いてこれてる。

ただ、問題は手前から奥までランダムに置かれること。

弾は重力に乗っ取って落ちるから、ちょっと銃口を上にあげたりして工夫しないと行けなくなる。


「あちゃーミスった!」


流石に奥の的に当たらなかった。

もうちょい銃口を上に……って反省はこのゲームの後にしよ。

あと10秒。

ついにラッシュだ。

ランダムすぎて難しい。


出来るだけ当てれるように腕を振ってっと。


「終わった~最後ちょっとミスっちゃったな~」


割と調子は良かったけれど、もう少し良ければ……って感じだな~。


ヒット率は91%

自己ベストには僅かに届かなかったかぁ。

ここで魅せたかったな。


ー???

ーあれこの子えぐくね?

ー90%???

ーほぼヒットしてる……

ーやばい

ーゲーマー女子(ガチ勢)


あれ、割と好評?

別に自己べじゃないしこのくらいなら出せると思ったんだけどなぁ。

というかこのゲームの基準が分からない。


「これって何%から凄いの?」


ー90%

ー90越えたらもう上手いね

ー春陽は化け物

ー95%超えはなかなかいない

ープロゲーマーくらい?

ーよくわかんないけどつまり凄いってことだけ分かっちゃう

ーなるほどな、分からん


「なるほど割とこれ出来てるんだ。」


爪痕までは行きそうにないけれど、趣味を自慢出来て良かった。


最後はゆったりと雑談をしつつ、


「っということで時間かな。終わりの挨拶覚えてるかな?」


ー知らんwww

ー???

ーそういや聞いてないな

ーあれあったんだ

ーしらねえ


「あ、概要欄に貼りっぱなしで何も言ってなかった」


やべ、最後にやらかしちゃったな。


「皆見た?準備はいいね?」


記念すべき初配信。

それも、もう終わりか。

でもこれが出発点。

まだまだこれからだ。


「ばいはるる~!」


ーばいはるる

ーばいはるる~!

ーばいはるる

ーばいはるる!!

ーばいあはる


よしっと、これで配信は完全に切れたかな?

切り忘れなんて怖すぎるからね。

ちゃんと用心深くしないと。


「これで、良い……かな?終わったあああ」


ついに初めてのVTuber配信が終わった。

早速マネージャーのリンさんに連絡だ。


「終わりました!」


『ですね!見てて私も凄いなってなっちゃいました。お疲れ様です!

 色々と話したいこととかはあるけれど、今日はゆっくり休んで明日からまた頑張りましょう!』


「はい!」


自然と自分に自信が持てるようになった。

いつから?そんなのは分かんないけど、この挑戦を通して自分は変わり始めている。

少なからず何かが変わっていっているのだ。


そう思うとやる気もみなぎる。


『どうでした?初めての配信は』


「すっごく楽しかったです!次の配信がわくわくします!」


『それは良かった。じゃあゆっくり休んでね』



ふう、本当に楽しかったな。

VTuber、私にとっては縁もゆかりもない話。

それが1,2年前だった。


でも今はどうだ?縁もゆかりもある。

なぜなら私がVTuberになったから。


過去の自分に今なら言える。

私は今頑張っていると、

一歩ずつ前に進めていると自慢したい。


必ず自分が理想とする姿に近づく。

一歩ずつ、それが例えた辛い一歩でも、どれだけ楽な一歩でも。

私は必ず進んでいく。





これが私の物語。

ここからが私の物語。


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【後書き】

1章は終わりです。

これから春陽がどう成長していくのか。

皆もぜひ見てあげてください。


2章も頑張ります~!!!!!!


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