第5話 夢はもう近い
「これで、お願いします!」
3度目の本社。
今日は色々と考えた設定を提出する日だった。
もうVTuberになる日もまもない。
「
春陽、これに込められた想いは1つ。
私に似た、新しい私。
それをこの世界で創り上げるのだ。
「良いですね。これで行きましょう。これからはこの名前で呼ばせてもらいますね。」
あ、心の声漏れちゃってた。
まあいいか。
「あ、それと」
ん?
まだ何か話があった?
「こちらが、春陽さんのアバターです。一応発注通りに作ってみましたがどうでしょうか。」
春陽って言われるの、なんだかむずがゆいな。
急にこの世界に足を踏み入れた感じがする。
それよりも、アバターか。
ピンク髪の少女。髪に青色の蝶の耳飾りを着けている。
基本的に蝶をモチーフとした黒いワンピースで、
彼女の周りに蝶の柄が付いている。
うん、少し無茶なお願いをしてしまったなとは思ったんだけど、私の想像以上に凄いものが出来ていて私としては大満足かな。
「すごくいいです!これで行きたいです!」
「ありがとうございます。ではこれで話を進めますね」
ここからはまた色々と話が始まる。
まあまずはPCとかモニターとか、いわゆる機材的なものだ。
私の家にあるものでもよかったが、支給されるならせっかくだし使っちゃおうかな。
後は配信予定日や告知、配信ルールなど細かいものを決めるよう言われた。
「案件というのもいずれ付いてくるかもしれません。大体はマネージャーの私から伝えられるのでそこまで気を重くしないでくれて大丈夫ですよ。コラボの依頼なども同様に私に任せてください」
マネージャー管理という安心感。
流石にヘマをかますわけじゃないが、マネージャーが管理というのは責任感が二分割されたみたいで、やや軽い。
「配信開始は12月あたりを予定してます。もうあとはオンラインでの会議だけになりますので、実際会って話したいならまた連絡ください。」
「え、あ、はい。」
そっか。もう始まっちゃうのか。
あっという間に数週間が経ってしまったな。
でもこの短期間でちょっとは前進出来ていると思うとわくわくする。
「その、1つ良いですか?」
「はい、なんでしょう」
せっかくだし今考えていることも聞いてみよう。
聞かずに後悔するより、聞いて後悔した方が人生においては得。そう怜夏さんは言っていたし…
「本当に私はVTuberとして活動していいのですか?」
「もちろんですよ!あなたは立派なHESKALの一員です。自身を持って」
「頑張ります……」
そう言われるとちょっと嬉しいな。
自分で歩んだ道、これから頑張るぞ!
そう思って今日のミーティングは終了した。
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「終わったよ~」
『お疲れ様。安全に家まで帰ってきてね。』
「うん~!」
怜夏さんにも連絡したしあとは……っと。
「お疲れ~」
「ん?あ、春か!お疲れ様~!どうだった?」
入口付近で待っていると、後から出てきたのは夜音。
今ではもう立派な親友だ。
「いや~もうVTuberかっていう感動が」
「分かる!それな!アバター決まった?」
「もちろんだよ、夜音はどんな感じなの?」
「内緒~!」
駅まで一緒に帰りながら、そんなことを喋っていた。
初対面の時からだが、彼女のコミュ力は異常だ。
私が独りにならないように誘導してくれている。
陰キャ女子にとっては神様かな。
「あ、でも名前だけ聞いとこうかな」
「私は春陽、春に太陽の陽で春陽」
「お~凄く良い名前!私はね、プリーム。プリーム・アラモートにしたの」
プリーム・アラモートか。
なんだかプリンみたいなんだが!?
「プリン好きなの?」
「まあまあかな。インパクトとかもあるし、私の思い入れあるものだしね」
理由は案外ちゃんとしてた。
でもプリン感が半端じゃない。
「今日から春陽って呼ぶ。私の事はプリームって呼んで」
「うん、よろしくね。プリーム」
「よろしく、春陽」
私達は初めて握手を交わした気がする。
でもここからが新たな始まり。
私達は今この瞬間から飛び出す。
新たな世界、バーチャル空間へと向かって。
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【後書き】
昨日凄く通知が多くて嬉しいなーって思って見たら既視感のある作品名があって、
いつの間にか投稿されてました()
新作出さないと言ってたんですけど予約投稿外すの忘れましたね。
ヌルっと始まりましたが新作スタートです!
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