第4話 合否通知
面接を受け終えたもう2週間。
合格しない、そう感じてきてからもう記憶の端あたりからも消えていた。
でも、また蘇った。
それが私のスマホに届いた一本の通知。
〈HESKAL2期生応募ありがとうございました。
おめでとうございます。あなたは見事選ばれました。
下記の日程に本社へお越しください。〉
「え?」
私は心の声を漏らした。
「え?」
まだ信じられない。
「ええええええ」
ようやくこの通知がどういうものか分かった。
今までで感じたことのないほどの驚き。
そして、
「やったああああ」
感じたことのない喜びが私を待っていたのだった。
「や、や、やばい!怜夏さん!やばいよ!!」
私は急いで階段を駆け下りて、リビングに居る彼女の方へ行く。
「あら、春。そんなに慌ててどうしたの?」
こんな春見たこと無いわね。とでも言いそうな顔。
でも今回はその稀に見る事例そのものだった。
「やばいよ!これ見て!!!」
私は合格通知の画面を彼女に見せた。
「あら!!!!!!凄いわ!おめでとう!!!!」
彼女は今していた作業を置いて、私を抱きしめてくれた。
「えへへ、私頑張った!」
「凄すぎるわ、私も嬉しい!」
怜夏さんの喜びがひしひしと伝わってくる。
「でもここからが本番よ、社会は甘くないからね。頑張って」
「うん!!!!!」
喜びがあふれ出ている。
急いで両親にも連絡しないと!
〈合格した!私もVTuberなれる!?〉
〈おめでとう!!凄いわ!これからが大事なんだからね、頑張りなさい!〉
〈流石は春だ。ここからどれだけ頑張れるかが大事なんだ。苦しい戦いかもしれないけどきっと春なら出来る。頑張れ!〉
この嬉しさをどこに持って行ったらいいの?
そんな思いを胸に私はHESKAL本社へ足を運んだ。
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「まさかまた来るなんて思わなかったな…」
制服、2週間前には着ていたはずなのに、またもやクローゼットの奥底に沈められていた。
でもまた拾い上げて着る日が来るだなんて…。
未だに信じられないな。
「えっと、HESKALの2期生応募で選ばれて…」
受付の人に案内してもらう。
やっぱりここの人は凄く優しい。
おめでとうと付け加えられると、私も嬉しくなっちゃう。
「っと、浮かれる気持ちも大事だけど頑張らないと」
そうだよね、今からが本番だもんね。
自分に言い聞かせながら会場にやってくる。
前来た時と同じ人は…ってあれ!?
「夜音!?」
「え!?春!?!?!?」
運命の再開を果たした。
「そうなんだ、お互いおめでとうだね。」
「だね~夜音が受かるのは薄々感じてたけどね。私まで行くなんて」
「えへへ、ありがと。でも春もここに立っているんだから頑張ったんでしょ?凄い」
努力が人に認められ、褒められる。
なんて良い世界なんだろう。
「でもここからが本番。お互い同期として頑張ろうね。」
「うん!」
気を引き締めないと…。
でも夜音と会えたのは凄く嬉しいな。
これからも仲良くしたいな。
『皆さんおめでとうございます!今日から皆さんはHESKAL2期生です!』
HESKAL2期生…響きが良いな。
本当になれたのかな私。
『今日は各々で、色々説明したいことがございますので各自呼んでいこうと思います』
『じゃあまず、夜桜 春さんからどうぞ~』
「え、私から!?」
「頑張って~!」
「うん、ありがと」
まさか私からだなんて。
ちょっと心の準備は終わってないんですけど!?
連れて来られたのは1つの部屋。
「あ、えっとよろしくお願いします。」
「よろしくね。私があなたのマネージャーを務めるリンと申します。よろしくね」
「夜桜 春です。よろしくお願いします。」
リンさん?
容姿が大人っぽくて好きだ。
笑顔は本当に素敵で、私まで笑顔になりそう。
ロングヘアに眼鏡って良いな。
「じゃ早速話をするわね」
まずはHESKALそのものについて。
と言ってもこの会社の目的とか、私達は何を考えてするべきか。
ちょっと眠くなるかもと不安だったが、リンさん自身もあまりこういう話は好きじゃないみたい。
「こんなの言われてもね~って話だよね。私もそう思う。」
まさかのこっち側。
もう大好きです。
「じゃこっからは春ちゃん自身の話ね。」
と一枚のプリントを渡された。
書いてあるのは、本当に色んなこと。
例えば…名前。
「VTuberとして活動する名前も決めてもらおうかなって。HESKALは別に個々の主体性第一だから。私たちが決めるよりも春ちゃん自身で決めてほしいなって」
その他にも、ファンネームだったり、ハッシュタグだったり。
今日中に決めるものというよりかは、次来た時までに決めるものらしい。
「で、一応デザイン案だけどおおよその姿、まあ言ってしまえばアバターの候補が出来てるんだけど」
え?早くね?
私まだ合格ですと言われてきただけなのに。
「全然この中で決めなくてもいいし、何かキーワードとか詳しく言ってくれたら新しく作るよ。あくまでこれはデザインの候補だからね」
と8体のアバターデザインの案が渡される。
どれも素敵すぎる。
私ってVTuberになれるんだ。
この瞬間、その感動が一気に寄せてきた。
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