第3話  苦しくて

次の日の朝、裕実が「うん。朝」と目覚ましを見ると7時を過ぎていた。

裕実が「うわ。朝遅刻じゃん」とドタバタと階段を下りて行く。

裕実は腕時計を付けて、紗良から「あんまり急ぎ過ぎて、何処かに転ばないでね」と注意を受けて、急いで玄関を出た。

自転車で走って行くなり、自転車でスッテンコロリンスカートが捲れてしまい、パンツが丸見えになった。

その隣で、祥が「今日は苺のパンツか」とすらりと笑って、学校まで走って行った。

黒いランドセルに思いがけず、裕実は「あんたみたいなガキにドキドキした私が馬鹿だった」と叫んで自転車を立たせ走って行った。

裕実は遅れて学校の教室に入ってくると、先生から「遅れて来たのは何で?もう少し早く登校できないのか?」と横目で睨まれた。

裕実は「ごめんなさい。自転車で転んでしまって、膝に傷が出来てしまったので保健室に行って来ます」と先生に一言告げた。

先生は「全くけしからんな。もう少し早く来ても良いものなんだが」と裕実を見て呟いた。

保健室で、雅紀に「おい、遅刻に怪我って何だよ。お前らしくない」とドンピシャに怒られた。

裕実が「だって、私だって怪我したくて怪我したわけじゃないし・・・、優等生の雅紀に私の気持ちが分かる訳が無いもの」と雅紀にムキになった。

雅紀が「そんな事を言って、俺が居なかったら治療をして貰えなかったんだぞ。もう少し素直になれよ」と裕実の頭にデコピンをした。

裕実が「痛い。もう、何なのよ」と雅紀に怒って保健室を出て行った。

雅紀が「あいつ、放課後どっか出るよな?毎日どこ行って居るか付けてみよう」と裕実の事を少し怪しんでいた。

雅紀が付いて行った先は、知らない民家で裕実がチャイムを鳴らしていた。

裕実が「家庭教師をして居る裕実です。今、祥君、お帰りですか?」とお辞儀をして居た。

雅紀が「あいつ、家庭教師をして居るんだな。知らなかった」とよそよそしく周りを見回していた。

祥が「お、待って居たぞ。部屋に行こう」と裕実に声を掛けていた。

裕実の喘ぎ声が部屋から聞こえて来て、雅紀が「あいつ、何をして居るんだろう?」と下から上の部屋に這い上がって部屋の様子を確認すると、そこには裕実のおっぱいを舐めている、祥が居た。

祥が「あんた誰?」と急に窓を開けて声を掛けて来たので、雅紀が「あ、俺は裕実の学校の同級生で、雅紀です。家庭教師なのにこんな事までするのか?」と凄く不審に思って居た。

祥が「あんた、裕実さんの何なの?俺が先に手を出して居るのに、何か裕実さんと付き合っているのか?」と雅紀に偉そうに口答えをして来た。

雅紀が「俺は、裕実の事を前々から良いなって思って居たんだ。なのに、小学生のお前に偉そうに言われたくはない」と裕実の事でムキになって返事を返した。

祥が「面白い。そんなにこの女が良いなら、お前にくれてやる。ただし、俺の勉強を教えてくれるなら、裕実さんを開放してやろう」と言う条件を突き付けられた。

雅紀が毎日「今日から家庭教師が変わって、雅紀になりました。よろしくお願いします」と玄関先で、夏子に挨拶をした。

夏子が「分かりました。じゃ、よろしくお願いします」と裕実の代わりに祥の小学生の問題集を見て、これはこれだとざっと1時間が過ぎて、雅紀が「お疲れ様でした。じゃ、此処を復習して置いてください」と丁寧に受け答えをして帰って行った。

その後ろで祥が「やっぱり、裕実さんが良いな。ね?裕実さんに変更できないの?」と急に言い出したので、雅紀が「駄目だ。あいつは、お前と会いたいと思うのか?あんなことされて普通は嫌だと思う」と祥に歯向かった。

祥が「そうかよ?お前がそんなに裕実さんの事を好きなら、付き合っちゃえばいいのに」とふざけて笑って見せた。

雅紀が「あのな?そういう事は順序を得てからにしろよ。お前は小学生。裕実は高校生だ。お前に裕実は幸せにできない」と率直に否定された。

祥が「ふーん、そうかよ。じゃ、勝手にやって居ろよ。俺は、裕実さんの事を諦める。その代わり、その顔を俺に見せるな。裕実さんとどうぞ、お幸せに」と手を振って不敵な笑みを浮かべた。


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