第34話
「放っといて下さいよ。だいたいここで働いてるのはナンパ目的じゃないんですから。」
「放っといて…ねえ。
俺、お前が女の作った弁当食べてんの初めて見たけどな。」
「‥‥‥」
「しかもすっげえ旨そうに。」
返事が聞こえない。
社長さんの言葉は本当なのかな。
そんな事をボンヤリ考えてたら。
ぐいっ!!
いきなり伸びてきた大きな手に右手首を引っ張られて休憩室に引きずり込まれた。
壁に押し付けられる体。
「立ち聞きするとはいい度胸だ。」
わたしの耳元でささやく大好きな声。意地悪に笑う綺麗な顔。
心臓が持たない。
熱い熱が顔を赤く染める。
「ご、ごめんなさい。」
助けを求めて社長さんを見る。
笑ってる。しかもめちゃくちゃ楽しそうに。いやあれはニヤニヤとなにかを企んでる顔。
私が社長さんの方をじっと見てると
「チッ!」
舌打ちが聞こえて押さえ付けられた体が解放された。
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