第二章

好きな人?

第23話

8月24日。


バイトの最終日で私の16才の誕生日。

その朝私は寝不足だった。

昨夜は遅くからゆかりさんにクッキーを焼いた。なかなかの出来ばえに自己満足。

沢山作ったから調理場のおじさん達にもお裾分け。

料理の作り方とかちょこちょこ教えてもらってたりする。

結構エッチな話とかされて困った事もあるけど女子高校生に対しての免疫が無くて舞上がってたらしい。

和真くんに教えてもらった時は大笑いしたっけ。


「料理のプロに手作りクッキーって無謀かな。」

ま、いいか。

気は心って言うし。

沢山作ったから優ちゃんにもお裾分け。

でもって朝は朝で和真くん用のお弁当作り。いつもの私のお弁当よりあきらかに豪華なお弁当にママの目はキラキラ。


「それ男の子にだよね。」

「うん。お世話になったお礼にね。」

「ふ~ん。お礼にね。」

ニヤニヤ笑って…信用してないな。


「そんな事より今夜の外食忘れないでよ。」

「はいはい。比名子はちゃんと来れるのね。」

「大丈夫。お客様に送ってもらうから。」

「憧れの?」

「当然。」

ニヤリとこぼれるのは悪巧みの笑い。

悪巧み…何の事はない。ママと佐々木さんを引き合わせようってだけなんだけどね。

上手くいけば理想のパパが手に入る。うふふっ。

強引な私の行動には実は理由がある。

モテモテなママは今、勤め先のお得意様に気に入られて困ってる。

今まで何度かこんな事があって、過去職場に居づらくなって転職を考えた事もあるママ。でもそんな事で好きな仕事を辞めないで欲しいじゃない。

二人の相性があうか考え無い訳じゃないけどママには幸せになって欲しい。

その相手が佐々木さんなら…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る