第21話

和真くんを追っかけた後ホールに帰った私は、案の定加奈先輩に嫌味を言われたけど全然平気だった。

だってまた和真くんと普通にお喋り出来るようになったんだもん。


「いらっしゃいませっ。」

佐々木さん。最近毎日来てくれる。


「やあ。やっといつもの比名ちゃんになったね。」

凄い。すぐわかっちゃうんだ。私どんだけ解りやすい顔してるんだろ。私の困った顔に気付いた佐々木さん。


「人の感情を読み取るのは得意なんだよ。気になる人達なら尚更ね。」

そう言うといつもの穏やかな笑顔を見せてくれる。


「気になるって。まるで告白されてる感じがします。」

クスクス笑いながら言う私に


「迷惑かな。」

おどける佐々木さん。

うん。大人のスマートな対応だ。


「比名ちゃんとも、もうすぐお別れなんだね。」

少し寂しく見えるのは自惚れだよね。

でもせっかく話題のきっかけが出来たんだし作戦決行してみよう。


「24日迄なんですけど、実は私その日誕生日なんですよね。」


「そうかおめでとう。16才?」


「はい。ありがとうございます。」


「何かプレゼントしたいんだが迷惑かな。」

やった。思ってたよりかなりの好感触!これなら行けるかも。


「うれしいです。でも。」

ちらりと顔色をうかがう。

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