第20話

あれから4日。

和真くんとは何となく気まずい。

お礼はまだ決められない。手作り弁当って普通彼女が作る物じゃないのかな。疑問に対する答えをもらった私はもうソコから考えが動かなくて。

ええいっ当たって砕けろ。

いや、砕けては困るんだけど。せっかくのお礼の気持ちだし。

私が気まずいと思ってるだけなんだ。きっと。だって高校生だってバレたなんて本人は知らないんだし。

今日も派手なアロハ着てたし。

私と入れ替わりで休憩に行った和真くんを目で追う。

あれ?何か落ちてる。

拾い上げてみると。

バイクの鍵だ。

これ和真くんの鍵!見覚えのあるキイホルダー。

和真くんたまに休憩時間にバイクで出たりするよね。

大事なものだよね。


「すいません。ちょっとトイレ行って来ます。」

先輩に声をかけて和真くんを追っかける。通用口から外に出ると外の熱気がムッと押し寄せる。暑っ!!


『…わかんね!ああ…。こんだけ探してんのにな。くそっ!…

あ゛?悪かったな苛ついてんだよ。』

電話中のこの声。和真くんだ。

高校生の話し方してる。ちょっと言葉遣いは乱暴だけど。何か親近感。

ここ何日か和真くんとの間にあった見えない壁が一気に無くなったみたい。


チャラッ。

わざと鍵の音をたてる。


「‥‥‥」

声が止まっのを確認して和真くんの声のした角を曲がる。日陰の壁にもたれてスマホをいじってる和真くんを見つけた。


「居た!良かったぁ。」

笑いながら駆け寄って


「はい。落とし物。」

バイクの鍵をさしだせば。尻ポケットに手を入れて確認。


「ああ悪い。届けてくれたのか。」

いつもの大人の喋り方でお礼を言われた。


「うん。使うかなって思ったから。」


「助かった。」


「感謝してね。加奈先輩かなせんぱいに嫌み言われちゃうよ」

休憩後すぐトイレなんて。

和真くんはちょっとびっくりした顔して


「いじめられたら慰めてやるよ。」

私の頭に手を乗せてにっと笑った。

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