第16話
次の日のバイトはゆかりさんも同じシフト。最後の日もシフトが重なるからお礼に手作りのクッキーを渡すつもり。シナモンクッキーがお気に入りだとリサーチ済みなのだ。
問題は
「和真の好きな物ねえ。」
「はい。バイトも終わりだし何かお礼したいんです。」
そう言うと凄く嫌な顔されて
「私に聞かないでよっ。知らないわよ。男子高校生の好みなんて。」
と言われたんだけど
「は?」
男子高校生。和真くんが。
「和真くんって21才のフリーターですよね。」
最初の自己紹介で本人にそう聞いたよ。
「‥‥‥。」
何か凄く気まずい顔してる。
「ゆかりさん?」
私、嘘つかれてるのかな。
「え~と、別に気にしてませんよ。
人それぞれの都合もあるんだしお互いここ以外で会う事もないだろうし。」
年上だと思ってた方がいいなら知らん顔して今までどうりに接するし。私がそう言うとゆかりさんは笑った。
「そっか。比名ちゃんがそう言うなら
和真には内緒ね。
あ~すっきりした。嘘つくのって苦手なんだよね。和真って、ずっとやんちゃな弟のポジションだったから恋人とか冗談じゃないし。」
ケラケラと笑うゆかりさん。
「高校生より社会人の方が時給もいいですしね。」
私も笑っておいた。
何となく違う理由な気がするけど追及する気もないし。
「あ、オーナーはちゃんと知ってるから。時給は変わらないよ。」
ずるしてると思われたらさすがに和真が可哀想だからとゆかりさんは笑った。
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