共依存

柊 こころ

始まりの終わり


なんとなく始めた出会い系。

出会ったのは和哉というニートだった。


なんとなく居候されて

なんとなく身体の付き合いもあった。


だからこそ嫉妬した。

だから彼女になりたかった。


「なってみる?」



と言われて、なんとなく付き合いが始まったけれど


何かあると喧嘩になっては

段々暴力に代わっていった。


最初は叩かれるだけだったけれど

首を絞められて振り回されたり

包丁で追いかけまわされたり

挙句、携帯を自分で壊したり


でも、依存していた私は

「ごめんね、愛してるから」

「俺もごめん…」


そう言われていつも仲直りする


典型的な「共依存」だった。




そんなある日。


ドガッ!


壁に穴を開けた和哉。


「ちょっと!契約者は私なんだけど!」

「お前が帰り遅いからだろ!この売春婦!」


私の仕事は風俗。

でも売春婦なんて言われる筋合いなんてない。

ニートに言われたくない。


好きという気持ちが、怒りに変わっていく。


依存の気持ちが変わる。

怒りと悲しみが込み上げてきた。


「もういい。出てけ。売春婦と居たくないでしょう?

貴方が売春婦って言った。


言葉はナイフになる。心に刺すんだよ。



荷物、キャリーケースだけだろ?出ていけ。」


いたって冷静な自分がいた。




やられてきた過去があるから

でも好きだった自分もいるから


自分を許せなかった。


舌打ちしながら、キャリーケースを持っていく和哉。



ああ、これでいいんだ。

涙が込み上げてくる。


「疲れちゃった、母親に連絡しなきゃ」


とっさに母親に連絡した。

「実は…」

経緯を話した。


すると、会社をしていた祖父が

「うちの孫に何してんだ!」

と、とんでもない位怒り出す。


「その両親連れてこい!」


こんなに怒る祖父だと思わなかった私は

なんとかして、かなり前に取得した両親の番号を教えた。



呼ばれた両親たちは

深々と土下座をしたらしい。


私は一緒にいなかったけれど


「甘く育てすぎました」

「甘くし過ぎてしまいました」


と、謝罪をしていたそうだ。


そして、祖父から

「慰謝料だから、好きに使いなさい。

傷ついただろう。辛かっただろう。」


と、100万円が振り込まれた。

和哉の両親が用意したそうだ。


「え!?使えないよ」


「良いから貰いなさい。」


と、電話を切った。


亡くなった祖父には、今でも感謝している。

強い、強かった。




未だに使えないと思っている100万円。


和哉も知っているはずなのに、何もしてこないのは

正直ホッとしている。




共依存、それは好きというよりも依存をする

怒られて、謝って、偽りで愛されて、そのループ。



あなたは今、幸せですか?




※実話を元に書いています。

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共依存 柊 こころ @viola666

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