「抱けない女? 何、それ」


「もー。善が言ったんじゃん。『善でも抱けない女っているの?』って訊いたら『んー…いるよ』って。私も一度会ったあの子でしょ。善は妹って嘘吐いてたけど」


「一度会った…妹?」


「何か、後からまたいかにも陽キャなイケメン来て『前坂ちゃん』って呼んでた」


「…。瑠璃ちゃん、何か言った?」


「ちょっとだけね。偶然会ったから。だってそうでしょ?」



キリティーが抱けない女?


まぁ確かに抱けない…っていうか抱く気ないけど…。



瑠璃ちゃんの事だから大分キツめに当たった可能性がある。

それが心配になってきた。



「あともう一人善の事知ってそうな女いたけど。

その子にその首の痕付けてもらったの?」



「…もう一人?」


「まぁ、近くで飲んでたついでにそれ伝えて善のそのいつも変わらない穏やかな表情かお崩したかっただけ」



「そっか」



「じゃあ、また連絡するね」



ウン、と頷くと細い指が頬に触れて、誘われるように彼女の小さな唇に口づけた。




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