第22話 彼と私の恋電車 彼視点②

ただの性欲ではなかった。

俺は…彼女にいつの間にか恋してた。愛しくて…会いたくてたまらない。

だけど、自分の欲を抑えるためには関わってはダメだと我慢した。会うことさえも。


卒業して、他に目を向ける。

いろんな女と遊んだ。そう…一応、彼女の事は思い出にした。もう、あり得ないだろうから。接点もないし。


それでも時々、思い出す。懐かしい思い出として。


あの淡い恋から何年だろうか。

俺は遊びだけはしたけど、恋はしなかった。

就職して社会人になると仕事が楽しくて、女は面倒だと思ったから。


気が付けば、上司にまでなってしまった。


そして…彼女に再会した。

最悪な再会…美しくない…最低な。

だけど、再会は再会。


彼女は俺を覚えていないだろう…ただの電車での人なんだから。

俺は忘れなかった。面影がそのままだったから。彼女は変わってなかった。


正直、ドキドキした。


車で送ってあげることになり、隣に彼女が座っただけで。

ただ…本当に彼女は無防備で、警戒心がない。

呆れてしまうほどに。


彼女が俺に質問してくる。話題を作るために。

地元や高校の話で彼女は興奮する。俺は知ってるから、その反応が楽しかった。


そして彼女から出た言葉。

俺は…驚き、戸惑った。

彼女は…俺を覚えていたんだ。さすがに俺だとは気付いてない様子だったけど。


俺は…嬉しかった。


上手く返事も出来ず…。

ただ感情だけは突き進む。触れたい…欲しい。


逃げない彼女を俺は最低に抱いた。

ずっと見たかった表情…声…肉体。

感じやすい体質なのか、触れただけで溢れてくる。

(ヤバい)

俺はかなり興奮した…我慢の限界だった。

何年間の我慢だと思う?願望が叶うんだ。我慢なんか出来ないだろ?


俺は…彼女と繋がった…何度も何度も。

彼女との行為は凄く気持ちよくて、愛しくて…感動した。

ずっと求めていた女を…俺は抱いている。


離したくない…手に入れたい。


「…ヒ…ナ…」


ヒナ…と、無意識に名前を呼んでいた。


一度、手にいれてしまうと夢中だった。俺だけの時間。いろんな愛しい彼女を見たい。

お互いに激しく求め合う。

何度か彼女に注ぎ満たした。孕ませたいと…考えてしまう自分がいたんだ。


デキてしまえば、一緒になれる理由になる。

それだけ、俺は彼女に夢中になっていた。

この交わりは、俺の独りよがりだけど…どうしても自制出来なかったんだ。





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