第20話 彼と私の恋電車 運命のヒト⑥

「陽菜?」

「この前…聞いたときには何も反応しなかったのに」

「あ…あー…」


だから人違いだと思ってたのに!思うようにしてたのに。

私の記憶は間違えていなかったんだ。

似てる…気になる…当たり前だよ。だって本人なんだから。

涙が溢れて止まらない。


「あの時…私を助けてくれて…ありがとう」


会いたかった。

恋愛感情とか抜きにして、あの時、私を守ってくれた事を感謝してる気持ちを言葉にしたかった。


「…お礼を言われる事…してないよ。陽菜は誤解してる」

「え?」

「俺は…さ…」


彼の体が再び覆い被さってきた。完全に床に押し倒されている私に逃げ場はない。


「ャッ…」


彼の手が、再び下半身に触れる。指先を軽く沿わせる。


ビクン…


「その反応を…他の男が楽しむのが嫌だった」

「え?」

「独占欲だよ。俺は…キミがあの電車に乗り合わせた時から知ってる。可愛いこが入学したなって思ってたから」


話ながらも私に触れてくる。


「だから、いつも見てたんだ。声をかけたくて…様子を伺ってた。

そしたら…痴漢にあってるだろ。最初は…気のせいかと思ってたけど…あの日はさすがに…イラついたからさ。

俺の好きな女の秘めた場所を!って。エロい表情を他の誰かに見られたくなかった」


感情が…本心が剥き出しになってきているのと比例して動作も激しくなっていく。


「そもそも、最初は陽菜の純情を汚されたくなかったんだ。俺の中では天使だったから。

だけど…距離が縮まると…自分の男が反応するわけだよ。

触れたい…キスしたい…エッチしたいと。凄く、葛藤してた毎日…毎日。

たださ…勇気はなかった。告白どころか、声をかけることも…」

「ちょ、激しく…しな…!」


ビクビクっと、軽く達してしまった…。我慢して感じないようにしてたのに。


「陽菜…俺は…あの時から…キミだけを求めてたんだよ。忘れることはなかった。

他に付き合っても物足りなくて…。

意味の無いことは止めた。惚れていない女に手を出すのは止めたんだ。


そこにキミは姿を見せた」


彼はギュッと私を抱き締めた。


「まさか再会する日が来るとは思わないから…。驚き、戸惑った。

相変わらず、隙だらけで男に絡まれてるし。キレイになってるし。

まぁ…微妙な再会だったけど、チャンスではあった」


彼は私の瞳をマジマジと優しく見つめる。


「あの時、返事をしなかったのは…まさか陽菜が俺の事を覚えてたとは思わなかったから。

嬉しくて…動揺してたんだ」

「…そう…なの?」


苦笑いしながら、私の頬を撫でる。


「結局、俺も理性が足りなくて手を出してしまったけど。幸せだったよ。初めて、夢中になったし何度も欲しくなる。

後半避妊しなかったのも…キミを手に入れたかったから。俺に繋ぎ止めたくて。

だから…下心だらけの俺に…礼なんかいらないよ。

俺は最低なんだから」

「そんなこと…」


そんなこと言われたら…私は嬉しいに決まっているじゃないか。


「私は…真崎さんが…好きで…」

「え?」

「私は、ずっと、助けてくれた彼が…好きで」


涙がポロポロと溢れる。


「とにかく!一番言いたかったのは、助けてくれて、ありがとう!ずっと守ってくれてて、ありがとう!なんだから…」


私は自ら彼にキスをした。


「陽菜…俺と恋愛しよ?で、結婚…して欲しい…ダメ?」


あの日から私、彼に恋をした。

いつか話しかけたくて、でも勇気はなくて。

私も彼と同じ。

どこか期待していたから。


「ダメ…じゃない…」

「やっと…堂々と愛せるんだな」


私達は深く深くキスをした。こんな幸せなキスをする日が来るなんて。


(私の王子様が…ここに…。私を愛してくれるなんて…奇跡だ)















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