第18話 彼と私の恋電車 運命のヒト④
「高校の時に…気になる女子がいたんだけど…。あまりにも愛しいって気持ちが膨れ上がってしまってさ…関わるのが怖くなった。
守りたいと思ってるのに…自分が…その女子を怖がらせる男になってしまいそうで…。
言葉も交わせなくて、自分の欲望を抑えるのに…告白することから逃げた。関わらない事で…彼女を俺から守りたかったんだ。
その時に初めて、本気の恋をした」
それが…噂の女性なんだ。きっと。
「周囲の奴は俺が結婚願望とか恋愛に興味のない仕事人間って噂してるみたいだけど…。人並みに交際はしてきたから。長続きしないだけで。
まぁ…割り切った関係の方が気楽だけどさ、現状」
「私は嫌だから」
そういう流れには持って行かせないんだから。私は引き続きアルバムを見た。
「陽菜…」
「甘えた声出しても、ダメなものはダメ。
約束でしょ?今日はそういう事はしないって」
だから家に来たんだから。
「今日は…エッチな事しない約束だからね。だけど…抱きしめるくらいなら…良いだろ?」
そう言って、後ろから抱きしめてくる。肩に顎を乗っけて…一緒にアルバムを見だした。
耳元で当時の説明をしてくれるんだけど…くすぐったくて、恥ずかしい。
あまり説明も頭に入ってこないし。
最後のアルバム…高校の卒業アルバムに入るまでが長かった。その時代の事を、色々と話してくれたから。
「俺の事…知って」と囁かれては遮る事もできない。
気付けば…既に0時を回ろうとしていた。
終電まで残り30分弱。あまりユックリは見ていられない。
「私、そろそろ帰らなきゃ…」
「あぁ…もうそんな時間か」
「あの…真崎さん…そろそろ解放して?」
相変わらず背後から抱きしめられたままで、動けない。
「離れがたい…」
「いや…困るし」
なんか…甘い恋人同士みたいな錯覚に陥りそう。それくらい彼が私に対して甘く接してくる。
「なぁ、陽菜…俺と…付き合わないか?」
「え?」
「大人の付き合いにさ…時間は必要ないだろ?直感で…お互いを求めるのはダメだろうか?俺はさ…陽菜の温もりが心地よくて堪んないだよね」
それは…私も感じた事だけど…。だけど…。
「陽菜が結婚したいなら、今すぐにだってしても良いよ?」
「いや、それはどうかと思う。結婚はそんな簡単にしちゃダメでしょ」
思わず突っ込みを入れてしまった。
「陽菜」
「ひゃんっ」
思わず出てしまった変な声。だって、耳を甘噛されたから。
「ちょっと…」
文句を言おうと振り返った瞬間に軽くキスをされた。
「俺と結婚しよう?」
「だから、無理だってば!」
「結婚したいんだろ?」
「そうだけど、真崎さんとは無理」
ガタン
思わず反応してしまう体が、テーブルにぶつかる。彼の手がスルリと服の中に入ってきたから。
「ちょ…」
「何で俺はダメ?」
ムッとした口調で肌に触れてくる手つきは、かなり意地悪だ。
「約束と違う!今日はしないって言ったのに!」
体が甘く痺れる。本当にダメなんだ。
彼に触れられると、全身が性感帯になってしまうみたいで力が入らない。
「今日は…過ぎたよ。日付変わったから」
私は時計を確認した。確かにそうだけど…そんなのズルい。
「インチキだよっ!」
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