第17話 彼と私の恋電車 運命のヒト③
出会った日に訪れたマンション。
あの日は余裕がなくて、ジックリとは見ていないけど…。意外と生活感はあった。
無造作に置かれた雑誌は仕事関係の物なんだろうな。統一性はなかった。
テレビの横のラックにはDVDが並んでいて、
色んなジャンルの映画があった。昔懐かしいものから、新作まで。
「私、この作品好きだな…何度も見たよ」
「面白いよな、それ。俺さ…映画とか何度も見返すタイプだから、レンタルじゃなくて買っちゃうんだよね」
「そうなんだ?」
「休みの日とか、家でDVD見てる」
意外だな。あまり家に閉じこもらないタイプだと思っていたから。誰かしらとデートとかしてそうな?
「何飲む?酒?」
「お酒はいらない。明日も仕事だもん…すぐに帰るから気にしないで」
少しだけ話をしに来ただけ。1時間ぐらいで帰るつもりでいるし。終電時間には遅くても帰らなきゃ。
リミットはあと2時間ぐらいかな。
私は更に部屋にある物を見て回る。どんな物があるのか興味があるから。人の家に行くと、つい見ちゃうよね。
CDはやっぱり洋楽が多い。知らないアーティストがたくさん並んでる。
「真崎さんって、どんな学生だったの?」
「俺?うーん…そんな変わらないけど。ハマるととことんハマるし、好き嫌いは結構ハッキリしてる。友達とかには正義感が強いとか言われた事あったかな」
「なるほど」
何か想像できるかも。
「熱中する傾向にあるから、学年1位でいたいと思った時とかあって…成績優秀だった…時期もある。学年によって、成績か…部活か…って感じだったかな」
「へー…」
「陽菜は…そのままだよな………きっと…」
「え?そんな事ないよ。学生時代よりは…強くなったと思うもん。昔は言いたい事も言えなかった。まぁ…今でも人によるけど…」
気弱だったから、痴漢にも狙われたんだろうし。流されてしまうんだよね。
「私…自分から好きな人に告白した事とかないんだよね。いつも…申し込まれたりしてから断れなくて付き合ったり。だから癖のある人が多くて。気が付けばこんな年齢でしょ。20代での結婚は難しいかなぁ…」
「好きな男ね…どんな奴?」
どんな奴…。そう言われて思い出すのは…やっぱり王子様で。思わず彼を見てしまう。
「内緒」
好きだったのに…詳しい事は知らない。一体、何がどこが好きだたんだろうか。守ってくれていたから?それもあるけど…。
「あ、卒業アルバムだ」
本棚に小・中・高のアルバムが並んでいた。
私は順番にアルバムを開く。
彼はテーブルにインスタントのコーヒーを淹れて置いてくれた。
一緒にお茶菓子も添えてくれていて、家にクッキーがある事にちょっと驚いた。
「ん?俺、甘いもん好きだから。お菓子もだけど、女も可愛い系が好きだね」
「意外かも…。大人女子がお好みなんだと思ってた」
「陽菜が大人女子か?」
「え?」
何か今、遠回しに好きだって言われたような気がした。勝手な解釈だけど。
「大人女子は俺的に苦手なんだわ。つい張り合ってしまう傾向にあってさ…。女子は…守りたいって思えるようなコが好きだね。自分の腕の中で、甘やかしたいし守りたい」
「…そうなんだ?」
自分の事だと言われてるワケじゃないのに…ドキドキする。
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