第12話 彼と私の恋電車 疑惑④
- ブブッ -
ポケットに忍ばせておいたスマホが鳴る。多分、美樹だろう。
とりあえず確認の為に近場の化粧室に入った。
【大翔から連絡きた。19時に駅前で待ち合わせね】
【了解です】
簡単に返信をすると、持ち場に戻る。
(19時か…仕事の定時は17時で、一度帰宅して着替えるかな)
まさか、今日とは思って来てないから…かなりの通勤仕様。落ち着いたモノトーンだから、デート向きじゃない。
他の子みたいに、お洒落しても良いんだけど…。気合いもなかなか入らないんだよね。
だけど、今日だけは頑張らなきゃ。
**
ノー残業で、テキパキと仕事を終わらせて帰宅。余計な仕事を押し付けられないように、今日は影を潜め定時に颯爽と帰宅した。
普段は用事がないからと、何でも引き受けてしまう傾向にあって…定時に帰れないから。
職場から自宅まで徒歩20分強。職場は駅から徒歩10分弱だから、本当ならそのまま駅に向かいたいとこ。
さすがに女子としては、初めて会う男性には可愛らしく見せたい。第一印象大切だと思うし。
自宅に帰って、素早くシャワーを浴びた。
時間との戦いでもあるから。
大丈夫だとは思うけど、下着にも気を使う。
だって…あの時はかなり例外の事だったから、地味なやつを着てたんだよね。
シンプルな柄も装飾もないベージュ系。これが、この先にも続く関係の人だったら、かなりの後悔だと思う。本当、失態だ。
(何を着ようかな。清楚系かな?でも…飲み屋だしなぁ…)
悩む色んな意味で。こんなことなら、新調しとけば良かった…と、ため息をついた。
さすがに大翔くんの紹介の人と出会ったその日に関係を持つことはないと思うけど。
これに関しては気合いを自分に入れる為。
気合い、だから、薄いピンクで花柄の刺繍にしてみる。清純派でも、肉食系でもない無難な年齢相応なやつを上下セットで装着完了。
服装は…悩んだ結果、デニムの七分丈パンツにシフォン素材のチュニックにしてみた。
無難に、そもそも居酒屋だろうし。
髪をまとめて、シュシュで結ぶ。あとは、ピアスとネックレスは花デザイン。
ナチュラルなメイクに、軽く香水をしてみる。
準備が終わると、サンダルを履いて急いで待ち合わせに向かった。
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