第7話 彼と私の恋電車 始まりの夜⑦

「あ…の、えっと…降ります」


確認する事に意識がいってしまって、到着している事を一瞬忘れていた。


「キミってガードが緩すぎだよね…いつも」

「え?」

「隙が多い」


そう言うと、彼の手が私を捕らえる。グッと引き寄せられた顔は、くっついてしまいそうな数センチの所で留まる。


「ほら、しようと思えばキス出来てしまう」

「あ、の…」


あまりにも近い距離。彼の瞳しか視界に入らない。そして視線をらせない。


「抵抗するべきだよ。今の状況は顔を背ける事も出来るタイミングだ」


いや…それは、わかってるんだけど…。何でか…動けない。


まだ出会って1時間程度しか経っていない相手を信用し過ぎている自分が自己防衛力がないって理解してる。もっと危機感を持つべきなんだって。


だけど…


「逃げるチャンスは与えたからな」

「!」


触れる唇。反射的に瞳を閉じてしまう。


私は何をしているんだろうか。こんなの間違っている。尻軽のつもりなんてないのに。


触れるだけから啄むキスに変わる。気が付けば頭を固定されていて逃げる事は許されない。

チャンスを棒に振った私に、躊躇いはないんだ。

彼は閉ざしていた唇を開くようにと舌で促す。

さすがに躊躇ためらってしまう私。

だけど…固く閉ざしていたワケじゃないから…あっという間に侵入を許してしまっていた。


「っん…」


徐々に濃厚さを増すキスに呼吸が乱れる。

全身に快楽が伝わる。

彼とのキスは…怖いほど気持ちが良かった。こんな感覚…初めてで、無意識に彼にしがみ付いていた。


キスだけで感じてしまっている。感覚がマヒしてる。


「ん…っ」


漏れる吐息…体が火照る。ドキドキが止まらない。

唇が離されると、ユックリ目を開ける。


真っ直ぐに私を見つめる彼。恥ずかしくて…でも、もっとキスして欲しくて…瞳が揺らぐ。


「恥ずかしそうにしてる表情が、凄いエロい」


そう言われると、余計に恥ずかしくなる。思わず目を逸らしてしまう。


「その表情が…男を欲情させるんだよ…。もっと感じる表情かおを見たくなる。キミが抵抗しないから…エスカレートするんだからな」

「え?」


『ガシャン』


車のキーがロックされる音がした。そして…


『カシャン』


彼はシートベルトを外す。


再び塞がれる唇。


今度は座席に押さえこまれる。それと同時に倒れる座席。


「んっ…」


覆いかぶさってくる彼。私は驚き目が泳いだ。

だって…ココは車であって…外であるんだ。

人が通ったら見えてしまう。

時間帯的にもう、あまり人は通らないだろうけど…。それでも…。


「!」


周囲に気がいっている間に、彼の手は私の服の中に入ってきていた。ブラの上から胸に触れる手が刺激してくる。

キスと同時に攻められるから、快楽が増してくる。思わず勝手に体がピクンと反応してしまう。


胸を攻めている手と反対の手が…太股を撫でてきた。それだけで神経はそちらにいく。


(ヤバい…だって…。私、そんなに強くない)


「やっ…」

「可愛いね…その声」


(何、これ…)

私は…かなり混乱していた。










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