番外編 4:灼熱の試練

# 刃に宿る想い - 番外編 5:灼熱の試練


秋の深まりと共に、鷹乃道場に新たな風が吹き込んだ。十四郎の旧友である剣術の達人、月影颯太が訪れたのだ。


「久しぶりだな、十四郎」


颯太の声に、十四郎は懐かしさを覚えた。


「颯太、よく来てくれた」


二人の再会を、椿丸は複雑な思いで見守っていた。


颯太の滞在中、道場は活気に満ちていた。その卓越した剣技に、弟子たちは目を輝かせた。しかし、椿丸の胸中には、言い知れぬ不安が渦巻いていた。


ある夜、椿丸は十四郎と颯太が話し込む声を耳にした。


「十四郎、お前の弟子、椿丸だったか。あれはただものではないな」


「ああ、彼は特別な存在だ」


「特別か...それはどういう意味だ?」


一瞬の沈黙の後、十四郎の声が響いた。


「俺にとって、かけがえのない人間だ」


その言葉に、椿丸の胸が高鳴った。しかし、次の颯太の言葉に凍りついた。


「そうか...だが、それは剣の道を誤らせることにならないか?」


椿丸は思わず息を呑んだ。


翌日、颯太は椿丸に声をかけた。


「椿丸、今夜、月見でもしないか?」


椿丸は戸惑いながらも、承諾した。


月明かりの下、二人は静かに酒を酌み交わしていた。


「椿丸、お前の剣には迷いがある」


颯太の言葉に、椿丸は動揺を隠せなかった。


「どういう...意味でしょうか」


「十四郎への想い。それが、お前の剣を鈍らせている」


椿丸は言葉を失った。


颯太はゆっくりと椿丸に近づいた。


「もし、お前が本当に剣の道を極めたいのなら...」


その瞬間、颯太の唇が椿丸の唇を塞いだ。


椿丸は驚きのあまり、一瞬動けなかった。しかし、すぐに我に返り、颯太を強く押し退けた。


「やめてください!」


颯太は冷静な表情を浮かべた。


「なぜだ?これが本当のお前の望みではないのか?」


椿丸は怒りに震えながら答えた。


「違います。私の剣は、十四郎さんへの想いがあるからこそ、強くなれるのです」


颯太はしばらく椿丸を見つめていたが、やがて微笑んだ。


「よし、それでいい。これは試練だった。お前の想いが本物だと確信したよ」


椿丸は驚きの表情を浮かべた。


「試練...?」


「ああ。十四郎から頼まれてな。お前の覚悟を確かめてほしいと」


椿丸は複雑な感情に包まれた。怒り、安堵、そして...興奮。


「十四郎さんに...会いたい」


颯太は頷いた。


「行くがいい。おそらく、道場の裏手で待っているはずだ」


椿丸は駆けるように十四郎の元へ向かった。


月明かりに照らされた庭で、十四郎は椿丸を待っていた。


「椿丸...」


「十四郎さん!」


椿丸は勢いよく十四郎に抱きついた。


「すまない。こんな試練を...」


十四郎の言葉を遮るように、椿丸は激しく唇を重ねた。


「んっ...椿丸」


十四郎の声が漏れる。


椿丸の手が十四郎の帯を解き始める。


「椿丸...ここで?」


「はい...今すぐに...あなたを感じたいんです」


椿丸の声に、これまでにない色気が滲んでいた。


二人の着物が音を立てて地面に落ちる。月明かりに照らされた肌が、淡く輝いていた。


椿丸は十四郎を地面に押し倒し、その上に跨った。


「椿丸...」


十四郎の驚きの声に、椿丸は微笑んだ。


「今夜は、私が全てを...」


そう言って、椿丸は十四郎の胸元から腹部へと舌を這わせていった。その感触に、十四郎は思わず身を震わせる。


「はぁ...椿丸...」


椿丸の唇が十四郎の下腹部に到達したとき、十四郎は思わず腰を浮かせた。


「焦らないで...十四郎さん」


椿丸の甘い声に、十四郎の理性が揺らぐ。


椿丸の舌が十四郎の最も敏感な部分を舐め上げる。その感触に、十四郎は思わず声を上げた。


「あっ...椿丸...それは...」


椿丸は十四郎の反応を楽しむように、ゆっくりと舌を這わせ続ける。

十四郎の吐息が激しくなっていく。


「椿丸...もう...」


椿丸は十四郎の言葉を遮るように、一気に腰を沈めた。


「はぁっ!」


二人の声が夜空に響く。


椿丸がゆっくりと腰を動かし始める。その動きに合わせて、十四郎の腰も自然と動き出す。


「十四郎さん...感じてますか?」


「ああ...すごく...」


椿丸の動きが次第に激しくなっていく。

汗が滴り、吐息が混ざり合う。

二人の体が一つとなり、互いの存在だけを感じ合う。


「椿丸...もう...」


「私も...十四郎さん...!」


激しい律動の中、二人の体が限界に達する。

その瞬間、まるで全身に電流が走ったかのような快感が二人を襲った。


「はぁっ...はぁっ...」


二人の荒い息遣いが、夜の静けさを破る。


しばらくの間、二人は言葉もなく抱き合っていた。

やがて、十四郎が静かに口を開いた。


「椿丸...すまない。こんな試練を...」


椿丸は十四郎の唇に指を当てた。


「いいえ。これで私の想いが、より強くなりました」


十四郎は椿丸を強く抱きしめた。


「俺も同じだ」


二人は再び口づけを交わした。長く、深い口づけ。


しかし、その幸せな時間も長くは続かなかった。

突然、不吉な風が吹き抜けた。


「この気配は...」十四郎が身を起こす。


「十四郎さん、これは」椿丸も警戒の色を浮かべる。


その時、闇の中から一つの声が響いた。


「いい光景だったぞ、十四郎、椿丸」


その声に、二人は凍りついた。


闇から現れたのは、以前倒したはずの妖刀使いだった。


「お前...なぜ」


十四郎が身構える。


妖刀使いは不敵な笑みを浮かべた。


「お前たちの力...その秘密が分かったよ」


その言葉と共に、妖刀使いの体から黒い靄が噴き出した。


十四郎と椿丸は咄嗟に飛び退く。しかし、裸のままでは十分な動きができない。


「くっ...」


十四郎が歯を食いしばる。


「十四郎さん!」


椿丸が叫ぶ。


妖刀使いの攻撃が二人に迫る。その時、不思議な光が二人を包み込んだ。


「なっ...これは」妖刀使いが驚きの声を上げる。


光に包まれた十四郎と椿丸の体が、ゆっくりと宙に浮かび上がる。


「椿丸...この力は」


「はい...私たちの想いが」


二人の体から放たれる光が、妖刀使いの放つ黒い靄を押し返していく。


「バカな...愛などという」


妖刀使いの声が途切れる。光に包まれた十四郎と椿丸が、一つの存在のように融合していく。


「我々の絆が」


十四郎の声が響く。


「あなたの闇を打ち払います」


椿丸の声が重なる。


そして、二人は同時に手を前に突き出した。

まばゆい光の束が、妖刀使いを貫く。


「ぐあああああ!」


妖刀使いの悲鳴と共に、その姿が光の中に溶けていった。


光が収まると、十四郎と椿丸は再び地面に立っていた。


「終わったな...」十四郎がつぶやく。


「はい...」椿丸が答える。


二人は再び強く抱き合った。


「椿丸...これからも」


「はい、十四郎さん。永遠に、あなたと共に」


二人は再び口づけを交わした。長く、深い口づけ。


それは、二人の永遠の契りの証だった。


翌日、颯太は道場を去った。去り際、颯太は十四郎と椿丸に微笑みかけた。


「二人とも、幸せになれよ」


十四郎と椿丸は頷いた。


その後、二人の絆はさらに深まった。

新たな道場を開いた二人は、剣の技だけでなく、心の在り方も教えるようになった。


「刃に宿る想い」

それは、十四郎と椿丸が歩んできた道の名前であり、これからも二人が共に歩んでいく道の名前でもあった。


二人の物語は、まだ始まったばかり。

しかし、互いへの深い愛と信頼があれば、どんな困難も乗り越えられる。


そう信じて、二人は手を取り合い、新たな未来へと歩み出したのだった。


*********************************

この作品が少しでも良いと思っていただけましたら、☆♡いいねやお気に入り登録など、どうぞよろしくお願いいたします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る