番外編 3:揺らぐ心、燃える想い

# 刃に宿る想い - 番外編 4:揺らぐ心、燃える想い


鷹乃道場に夏の訪れを告げる蝉の声が響き始めた頃、一人の美しい青年が訪れた。その名は風間薫。隣国の大名の息子であり、剣術の腕前も相当なものだという。


「はじめまして、鷹乃十四郎様。私は風間薫と申します。しばらくの間、ご指導いただきたく参りました」


その優雅な立ち振る舞いに、道場の面々は目を奪われた。特に椿丸は、何か言い様のない感情を抱いた。


十四郎は薫を歓迎し、道場での稽古を許可した。日々の稽古の中で、薫の実力は明らかになっていった。その才能は、椿丸にも引けを取らないほどだった。


ある日の稽古の後、薫は椿丸に近づいた。


「椿丸さん、お手合わせ願えませんか?」


椿丸は少し戸惑いながらも、申し出を受けた。二人の稽古は、見る者を魅了するほど美しかった。


その様子を見ていた十四郎は、何か言いようのない不安を感じていた。


数日後、十四郎は急用で道場を離れることになった。


「椿丸、留守を頼む」


「はい、十四郎さん。お気をつけて」


十四郎が去った後、薫は椿丸に近づいた。


「椿丸さん、今夜、月見でもしませんか?」


椿丸は躊躇したが、断る理由も見当たらず、承諾した。


月明かりの下、二人は静かに酒を酌み交わしていた。


「椿丸さん、あなたの剣には魂が宿っている。素晴らしい」


薫の言葉に、椿丸は頬を赤らめた。


「いえ、まだまだです」


「いいえ、十分すぎるほど素晴らしい。そして...」


薫はゆっくりと椿丸に近づいた。


「あなたも、とても美しい」


椿丸は動揺を隠せなかった。


「風間様、それは...」


薫の顔が近づいてくる。椿丸は身動きが取れなくなっていた。

唇が触れ合うその瞬間――。


「やめろ!」


椿丸は薫を強く押し退けた。


「すみません。私には...十四郎さんがいます」


薫は驚いた表情を浮かべたが、すぐに優雅な笑みを取り戻した。


「そうですか。失礼しました」


薫は立ち去り、椿丸は一人残された。


翌日、十四郎が戻ってきた。椿丸は昨夜のことを話すべきか迷っていた。


その夜、十四郎は椿丸を呼び出した。


「椿丸、何か言いたいことはないのか?」


椿丸は驚いた。


「十四郎さん...どうして」


「薫から聞いた。お前を誘惑しようとしたことを」


椿丸は頭を下げた。


「申し訳ありません。私は...」


十四郎は椿丸の肩に手を置いた。


「謝ることはない。お前は立派に対処した」


椿丸は顔を上げた。十四郎の目に映る自分の姿に、決意が芽生えた。


「十四郎さん」


椿丸は立ち上がり、十四郎を押し倒した。


「え?椿丸?」


十四郎は驚いた表情を浮かべた。


「十四郎さん...私の想いを、しっかりと受け止めてください」


椿丸の目に、これまでにない情熱が宿っていた。


唇が激しく重なる。舌が絡み合い、互いの味を貪るように求め合う。


「んっ...椿丸...」


十四郎の声が漏れる。


椿丸の手が十四郎の着物の中に滑り込む。その感触に、十四郎は身震いした。


「椿丸...お前」


「黙っていてください、十四郎さん」


椿丸の声に、これまでにない色気が滲んでいた。


着物が乱れ、肌が露わになる。椿丸の唇が十四郎の首筋から胸元へと移っていく。


「あっ...そこ...」


十四郎の声が、夜の静寂を破る。


椿丸の手が十四郎の下半身に伸びる。


「いいのか?」


「はい...お願いします...」


十四郎の言葉に応えて、椿丸が一気に腰を沈めた。


「ああっ!」


二人の声が重なる。


激しい律動が始まる。畳が軋むほどの勢いで、二人の体が重なり合う。


「十四郎さん...もっと...感じてください」


椿丸の動きが激しさを増す。


汗が滴り、吐息が混ざり合う。

二人の体が一つとなり、互いの存在だけを感じ合う。


「椿丸...俺は...」


「私も...十四郎さん...!」


絶頂の瞬間、二人の体が弓なりに反る。

そして、互いの名を叫びながら、深い快楽の淵に沈んでいった。


しばらくの間、二人は言葉もなく抱き合っていた。

やがて、椿丸が静かに口を開いた。


「十四郎さん、私の想いは揺るぎません」


十四郎は椿丸を強く抱きしめた。


「ああ、俺もだ」


二人は再び口づけを交わした。長く、深い口づけ。


翌日、薫は道場を去った。去り際、薫は椿丸に微笑みかけた。


「幸せになってください」


椿丸は頷いた。


その後、十四郎と椿丸の絆はさらに深まった。二人の関係は、どんな試練をも乗り越える強さを持っていた。


「刃に宿る想い」

それは、十四郎と椿丸が歩んできた道の名前であり、これからも二人が共に歩んでいく道の名前でもあった。


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