第17話
日曜日は予定が入らない限り、桜峰図書館で過ごすようにしている。
周りの人たちが勉強や読書に集中したり、一息ついたりする静かな場所で原稿用紙に向かっていると、小説のアイディアが浮かんでくることが多いんだ。
でも、さすがに今日はだめ。
目の前の原稿用紙はたくさんの二重線が引かれたままストップしている。
その上からどーんという紫の縦線すら降りてきているように思える。
古い漫画で暗い気持ちの主人公の頭に現れるあれね。
あはは。……笑えないや。
心の中でひとりごちていると、とすん、ととなりの席に大きなカバンが置かれた。
「オレたちのライブ見ときながら、なんて顔してんだよ」
出会ったときと同じ、黒いジャケットに黒いジーパン。そして、よく見るとあのときと少し違う、茶色っぽいサングラス。
注意してみるとかすかにその奥に透ける、整った大きな瞳。
「純! やっぱりあんた、純だったんだ――」
思わず出しかけた声がぎろりとした一瞥で遮られる。
「ばか、でかい声出すな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます