第6話
スニーカーの宣伝らしく、テレビ画面越しに、おしゃれな運動靴をはいた『エクレール』のメンバーの一人がポーズをとってさわやかな笑顔を向けてくる。
「わぁっ、純くんだ! かっこいい~」
彼の名前は
「ドラマで共演してから、女優の
「ふーん。そうなんだ」
「でもやっぱり一番は藤波くんかなー。きゃっ、でてきた!」
画面に推しメンが登場したらしく、さっきまであたしの話題に熱心だった夏陽がそっちに食いついてしまったので、しかたなく一人、ぼんやり考える。
あの失礼なグラサン男に、本音を言えば、あたしだって一言言ってやりたい。
でも。
数学や漢字のノートのかたわら、ガラステーブルのうえにぽつんと置かれた原稿用紙の束を見返す。
一理あるんだよな。あいつの言うこと。
舞台のしかけの書き方の甘さは自分でもうすうす気にかかっていた。
アイドルのことを書くなら、もっと芸能界についてちゃんと知る必要があるだろう。
でもどうやったらいいんだろう?
知り合いに芸能人がいるわけじゃなし。
きゃぁきゃぁいう夏陽の黄色い声をバックミュージック代わりに、あたしは新たにクッキーをくわえてソファにころがった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます