むね
むね
「だって、なかなかシミズが出てこないから、なんとか話しが出来ないかって思って、」
「それがなんで窓からなのよ!?」
「いや……俺はシミズをちょっとビックリさせようと思ってただけで……」
確かにビックリした。
ショックなぐらい。
そういう意味ではサプライズ成功!?ミッションコンプリー!?
やったね!!
って言うわけねぇだろぉっ!!!!
なんとか着替えを終えた私は腕を組みながら、玄関から迎え入れたハタノの弁解を、玄関で立ったまま向かい合って聞いていた。
「そんなつもりなかったって!!マジで!!ごめん!!」
靴を脱がずに玄関に立っているハタノを睨んだ。
若干、私は涙目になってるかもしれないけど、苛立ちが収まらないからそのまま声を荒げた。
「てか、二階なのにどうやって来たのよ!?」
「どうって……シミズん家の庭から入って壁を登って……」
「……不法侵入の上に痴漢で訴えてやる」
「ホント、何も見てないって!!見えなかった!!ほぼ背中だったし!!一瞬だったし!!」
「もういいから帰ってよ!!」
「だからごめんって!!」
ヘラヘラはしていないけど、軽い感じにポンポン謝ってくるハタノにそれはそれでムカつきが増幅する。
なのにハタノは私の手を掴んできた。
思わず「ギャッ」と叫んだ。
ハタノは小首を傾げて、歯を見せて笑った。
「とりあえず学校行こうぜ!!」
「離してよ!!」
「俺、ここで待ってるから制服に着替えてこいよ!!」
「着替え見る気!?」
「ちょ、違っ!!だから誤解だって。学校行こう!!もう遅刻だけど、昼休みに間に合えばセーフだって!!」
「行かないって言ってるじゃん!!帰ってよ!!」
ハタノの手を乱暴に振り払った。
「なんで私を連れてこうとするわけ?」
「……え?」
「毎日毎日……なんで私の家に来るの!?」
「なんでって……」
「……何?」
「なんとなく。面白そうだったから」
あっからかんとしているハタノの答えに頬とコメカミがピクピクと痙攣した。
「……ムカつく上に、いらないご親切をありがとう!!」
「ってわけで、学校行こうぜ!!」
「どういうわけよ!!」
「まぁまぁ……」
「行かないって言ってるじゃん!!しかもハタノと行くわけないじゃん!!」
「なんで?」
「変態と一緒に行きたくない」
「……は?」
「お前一人行けばいいじゃん、変態!!」
ハタノが明らかにムカついたって顔をしている。
殴られる?
でも私、悪くないし。
今更、言ったことに軽く恐怖を感じていたら
「自意識過剰」
と呟かれた。
「……え?」
ハタノの両手は私の胸を触って掴んでいた。
「お前みたいな貧乳に勃つわけねぇじゃん」
そう言ったハタノを見て、血の気が引き、
「ぎゃあああぁぁぁーっ!!!!」
本日二度目の絶叫がコダマした。
このあとグーパンチをハタノに繰り出して、家から追い出したのは言うまでもない。
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