第1話 無色透明少女
「ごめん透花ちゃん!宿題見せてー!」
「えぇ...。またなのやっちゃん...。いい加減ちゃんとやりなよ...。」
「うぅ...。ちゃんとやろうとはしたんだよ...。でもね机に向かったらね...」
「机の上のものが気になってやらなかったんでしょ。前も聞いた。」
「違うよ!昨日はね美玖ちゃんから電話が来てね!そのまま寝ちゃったの!」
「結局やってないことには変わらないでしょ。はぁ。まあいいからちゃっちゃと写しちゃってよ。」
「ありがとー!ホント、神様、仏様、透花様だよ!」
これが私の朝のルーティーンだ。やっちゃん、谷口弥生が宿題をしてこないことは長い間連れ添った私が誰よりも知っている。だから朝は余裕をもって登校してるし、内容だってわかりやすいようにまとめてある。そのかいもあってやっちゃんは辛くも赤点は回避している。もはや、やっちゃんがこの学校に居られるのは私のおかげといってもいいくらいだ。
「毎度のことながら委員長も大変だな。宿題、集めんだろ?この辺に重ねとけばいいか?」
「ありがと。あとで職員室に持っていくよ。」
そう。先ほどの男子が言った通り、私は委員長もやっている。決して自分からやりたいといったわけではない。やっちゃんが勝手に推薦してあれよあれよと決まってしまったのだ。頼られるのは嫌いじゃない。ただ目立つのは嫌いだ。それでも強く言えない私は委員長なんてポジションに収まっている。
そうこうしているうちに教室内もだんだん人が増えてきて騒がしくなってくる。
「うげ...。荒戸今日もいんじゃん。」
「相変わらずすげー髪。ああいうのを不良っていうんだろな。」
荒戸瑠璃。髪は大体が黒ではあるがインナーカラーが明るい青色で少し光を反射してまぶしいボリュームアップショートだ。ピアスも開いているようで耳もおしゃれな感じになっている。ずっとそっけない態度で見た目を抜きにしても苦手意識を持つ人は多いだろう彼女はいわゆる不良のレッテルを張られている。
だがしかし、この学校に髪型や髪色にかかわる校則はない。ピアスに関しても同様だ。そもそも彼女は毎日学校に来てるし、宿題もやっている。どちらかというと優等生に入る部類だと私は思う。どちらかというと不良っていうのはミルクティーみたいな髪色をしていて毎回宿題もやってこない、たまに学校サボっては夢の国に行く目の前の女みたいのをいうと私は思うのだが...。
「なに?透花ちゃん?私のことじっと見て。どうしたの?」
「ナンデモナイヨ」
「えぇー。そんな反応されたら気になるじゃん。ねぇねぇ。おしえてよー。」
こうして今日も普通な日が過ぎていった。
無色透明少女 @kanon3139
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。無色透明少女の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます