隠居

第27話

ベンジャミンはこうも続けた。「僕はね、祖国でひとりぼっちだったんだ、それなのに…今まで独りにしてごめんね」と。ジャスミンはそれを聞いて、涙が出てきた。自分のことではなく、ベンジャミンの境遇に涙したのだ。ベンジャミンはそれに気づき、「泣いてくれてるの?」と言った。ジャスミンがそれに頷くと

「ますます君を好きになったようだ」とベンジャミンは答えた。ジャスミンは更に真っ赤になり、益々ベンジャミンを虜にさせた。

その後、ベンジャミンは本題を切り出した。

「あのね、僕はこう思うんだ。ジャスミンの優しさ、キビキビした感じ…、君は女王になればいいと思うよ」えっ?ジャスミンはビックリした。

「それではベンジャミンさまはどうなさるんですか?」「久しぶりだね、その呼び方」「はぐらかさないでください」「僕は隠居するよ。小説を書きたいんだ」


えっ?ジャスミンは二度驚き、だが、ベンジャミンの決意は固かったようなので、そっとしといた。

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