第10話 牡丹誘拐 [中編]

牡丹の拘束具が外され、牡丹が辺りを見渡すと、無機質なコンクリートの部屋に居た。

 天井には監視カメラとスピーカー

 正面は鏡張りになっている

 左右には何もなく後ろには簡易ベッドがあった。

 そして部屋の中心には金属製の椅子が一つ置いてあるだけ。

「ここは?」

 状況を飲み込めず、思わず声に出る。

「ここは、君の能力を引き出すために用意された。部屋だよ」

 スピーカーから男の声でこの空間を説明する声が聞こえてくる。

「能力?」

「そうさ、君には私達に欠かせない力がある。だからこそ、その力を発揮させるためにね。」

 そう言うと後ろから、ロボットアームが牡丹を掴む。

「何?」

 するとアームが牡丹を椅子に座らせる、牡丹が座ると手と足を固定され、簡単に身動きが取れなくなった。

 その後再びアームが伸び、牡丹の体に電極を付ける。

「離して!!」

 何をされるか分からない恐怖に叫び抵抗する。すると、次の瞬間、電流が牡丹の体を走る。

 電圧が高いのか、牡丹は声にならない呻き声を出した。

 数秒間流れたあと、止まり、息が整い始めた頃に、また、電流が流れる。この繰り返しを牡丹の時間感覚が失くなるまで行われた牡丹は、電流の流れていない時も痙攣し、ついには失禁してしまう。何がなんだか分からない上拘束され電流を流され、挙げ句に失禁…耐えかねた牡丹は泣き出した。

 (助けて……戒斗………)


 牡丹の行方を調べる為、パソコンを開き牡丹の端末の位置を調べる。と一つのクリーニング店にGPS反応があった。

 何かあったかもしれないのでミライを牡丹の携帯に送った、しかしすぐに戻ってきた。

「マスター助けてください…ウイルスが…」

 ミライがそう言うと、ウイルスによりエラーの連発。

「待ってな、今治すから」

  ウイルスと格闘する事5分、問題のアプリケーションの削除をしミライのウイルスは直せたが問題は牡丹のスマホだ。ミライが入れないとなると、どうも手出しができない。どうしたものか……


 研究員が席を外し、牡丹に一時的に平安が訪れた。

 すると牡丹のいる部屋に白衣を着た女性が入ってきて、首に何かしらの機械を着ける。

「なにこれ?」

 掠れた声で牡丹が聞く。すると、先程の男性の声で、

「それは君が逃げないようにするための物で、言うことを聞かず逃げでもすれば君の体と頭はさよならだ」

 冷淡な声で、説明する。

 牡丹は目を開き、動揺して暴れ、部屋に金具の当たる音が響く。

 するとアームに睡眠剤を射たれ、牡丹は微睡まどろみ始め、ついに眠った。 

「さっ、本番だ…」

 モニターで牡丹が眠ったのを見た【BLACK】は周りに居た。他の研究員に呼び掛け、次の工程を指示した。

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