第6話 遭遇
ピピピッ……ピピピッ……カチッ…
目を覚まして、リビングに向かうと珍しく燐が起きている。
「珍しい…」
思わず声が出た。すると、燐が聞こえたのか反応する
「失礼ね!」
結局いつもどおり頬を膨らませる。
朝食を食べ終わり。通学専用のバスが停まる停留所に行くが、珍しく誰よりも早く着き停留所はがらんとしていた。
「貴方は何色?」
「ん?」
何か言われた気がしたのであたりを見渡す……
キラン…何か光った、スコープだと思い警戒して居ると後ろから刺された。
「ウグッ………」
着けていたスマートウォッチで緊急連絡をしようとするも出血のショックで何も言えずに気力の糸をを離した。最後に黒い何かに見つめられながら……
【牡丹目線】戒斗が倒れたと連絡が入り急いで病院に向かいました。
病室には治療が終わり眠っている戒斗が居て。先生の話だと。背中に刺されたと連絡が速かったのが良かったとのこと。ただしばらくは入院をして経過を見ると言われましたが。不安そのものがただ心の中を埋め尽くし私は部屋で一人泣きました。
戒斗が死ぬかもしれない……その恐怖が心を掴んで離さない。
目を覚ますと、周りには牡丹と燐、リアと母親がいた。
「ここは?」
「病院です。」
牡丹が答えた。それを見て母親は先生を呼びに行った。リアは獣人であることを隠すためツナギのようなパジャマを着ている。
「大丈夫ですか?」
燐が作ったであろう。翻訳機を通して声を掛けてきた。まだ傷口が痛むが頷いた。
しばらくして、医師て状況等を説明してくれた。
「無事で良かった……」
良くはない。そう言いそうになったが心に留めた。
――入院二日目――
神崎市警の五十嵐警部と如月警部補が来て刺されたときの状況などを聴きに来た。
「なるほど…スコープですか?」
五十嵐警部が質問し、如月警部補がメモをとる。すると、如月警部補が質問を投げてきた。
「この最初に聞こえた、『貴方は何色』ってどういうことでしょうか?」
確かにどういう意味が有って何のために?
「僕もいまいち……」
「そうですよね〜(笑)」
「お前な〜」と五十嵐警部がまるでドラマの先輩後輩のやり取りみたいに如月警部補を叱る。それを見て少し気が落ち着いた。
――その夜――
『貴方は何色』
この意味について考えていた。何を指しているのだろうか。血?それとも……なにか引っかかり、ふと自分のスマホの中に入っていた論文データをみて思い出した
――翌日――
五十嵐警部と如月警部補の二人を呼び。意味について考察した結果を話した
「素人目線ですが、まずこちらの論文を。」
差し出したのは、『パラレルワールド及び
「こちらは?」
五十嵐警部が聴いてきた。
「僕の在学する学院で以前出た論文です。これは
「確かに、
論文をめくりながら、如月警部補が答える。
「この論文を出したのは?」
五十嵐警部が聞く。
「この論文は僕が入学する前に出されたもので、詳しくは知らなくて。ただあらゆる観点から見てるので、学院の先生に聞けば何かわかるかと。」
そう言うと、二人が立ち上がり。
「ご協力ありがとうございます。」
と深々とお辞儀をして病室から退室した。
「面白い人達でしたね。」
スマートウォッチの液晶からミライが話しかける。
「そうだね。でもなんであの時俺の連絡を無視した?」
事件の日、ミライに連絡を飛ばして貰う予定だったが返事も何も来なかった。
「実はあの時、マスターのウォッチに移動しようしたのですが、通信障害が有りまして、遅れました。」
「通信障害か……」
何か裏が有りそうだが外を見て気を逸らすことにした。今は治療に専念しよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます