第3話 リア
何となく法則が見えたが後ろから読んでいるのはわかったが、言語はバラバラらしい。
“何"は日本語だった。“ありがとう”はスペイン語だ。
何ヶ国かの言語が混ざっていてかつ、後ろから読む………めんどっ。
そんなことを考えていると。獣人が俺の服の裾を引っ張った。
ビリッ!
嫌な音がした。獣人の方を見ると。あちゃ~という顔でこちらを見てくる、手に裾だった物を持って。
「ミノグシ……」
開いた口が塞がらないが、頭を下げて謝ってくれたので、大丈夫だと言いたいが、わからない。とりあえず普通に言おう
「問題ないよ」
すると、伝わったのか。頭を上げた。そして満面の笑顔でこちらを見てくる。
外見的に小学高学年の身長で歳もそこまで行ってないのだろう。めっちゃカワイイ。
そういや名前……聞いてないや……
どう聞こうか考えていたら読み取ったのか
「シタア、リア! タナア?」
«えっと、リアが名前で[シタア]だから[アタシ]か。なら[タナア]は[アナタ]か。»
翻訳すると『あたし、リア! あなたは?』か。
「カイト」
とりあえず。名前だけでいいか。
「カイト!!」
目を輝かせて俺の名前をリピートしてくる。幼稚園生か?
「シタアアテポ。ドンテアンーシ?」
[ポテア]…スワヒリ語で[迷う]だから、
『私迷子。』か、[アテンド]付き人か。[シーン]??[見た]か!
「見てないよ」
とりあえず辺りを見渡しながら。同じ様な獣人を探すが見当たらない。
もう一度辺りをを見渡していると。空が近づいてくるのが見えたので、空の性格とこれまでを思い出し思わずリアを守る体勢になる。
「何してんだ?そろそろ昼終わるぞ?」
後ろを気にしながら答えると、空が覗こうと後ろを見てくる。
「この子誰?」
後ろから美樹の声が聞こえた。もー最悪だ…
「やばっめっちゃかわいいやんけ!」
空が興奮しながらリアに近づいていく。リアの身を案じ思い振り向くと怯えてるかと思えば、戦闘体勢に入った。すると、空がリアを抱こうとした瞬間空が宙を舞いすごい勢いで地面とぶつかる。お見事。
このぐらい痛い目を見れば少しは…
「これもあり」
空が立ち上がりながら言う。駄目だこれは…
「キモッ……」
美樹が言うと、同意するようにリアがうなずく。
しばらく美樹とリアが俺の翻訳を通して話したあと。
燐と牡丹が来た。
「お兄ちゃん。ごは……ん…」
燐が話しかけるが、美樹と話してるリアを見て固まる。
「この子は?」
見かねた牡丹が聞いてくる。
「えっと……どこから説明するべきか……」
「何でもないです。」
申し訳なくなり、頭を下げた。
「ところでこの子どうするの?」
と美樹が聞いてきた。
「どうしようか…」
思わず声に出てしまった。リアを見ると悲しそうに見てくる……
俺自身から誘うようで嫌だが、仕方ない。かなり大きなため息を吐いて。リアに
「家来る?」
すると、リアは目を輝かせて、頷いた。
「空き部屋あるよね?」
牡丹に聞いてみた。
「あります。」
「牡丹か、燐の小さい頃のベッド有るよね。」
「はい」
ワクワクして飛び跳ねているリアを横目に急遽兄妹会議をしていると。スマホからミライの声で、
「電話です……電話です……」
誰かと思えば、母親からだ。
「もしもし……」
「戒斗、どんな子拾ったの?」
テレビ電話にして。カメラがリアを捉える。
「カワイイ〜!」
スマホの向こうから悶る声が聞こえる。
「家に連れて来なさい。開いてる部屋掃除して待ってるから。」ツーツー
音声をスピーカーにしていたので周りにいた。燐と牡丹は肩をすくめるやれやれみたいな顔をしている。
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