転生したら、竜種が劣等種と蔑まれる世界だった〜規格外の竜による成り上がり〜
刀剣 夜音
1章 神に愛された竜の旅支度
第1話 転生
「…変わらぬ日常」
年齢は40歳、仕事は大手IT企業の部長、恋人はいない例=年齢の、どこにでも居るありふれた普通の人間。
それが俺"斎藤 蒼真"だった。
顔も優れてると言えるのだろうが、厳つい方向性で、警察が俺を見れば必ず職質するほど。
この顔のせいで何度面接に落ちた事やら。
そんな普通の俺は、いつも通り起きて、仕事をして、帰宅するという変わらぬ日常を送っていた。
「えっマジ!?俺も行く〜!!」
聞こえてくる元気な少年の声。
その明るく元気な声を聞いて思い出す。
俺にもやる事に全力で挑み、明るく元気に遊んだりしていた頃があったと…
しかし、今の俺はやる気は無くなり、明るさも元気も無くなり、無気力な機械のように生きるだけ。
何度も思った、俺は何を思って生き続けているのか。
金か?趣味か?家族か?
金は、節約家であり無欲な人間である為そんなに求めていない。
決して生き甲斐にはならないだろう。
趣味は、特に無いので関係ないだろう。
これも生き甲斐ではない。
それでは家族だろうか?
いや、家族こそありえないだろう。
父も母も既に他界している。
兄妹も居ない。
結婚もしていないため、子供も居ない。
生き甲斐ではないだろう。
「生き甲斐とは…生きるとはなんなのだろうな」
そんな言葉が漏れてしまうほど、俺には生きる目的が無かったのだ。
そんな風に黄昏ていた俺は、突如背中から押されるように前に倒れ、走ってきていたトラックに頭からぶつかるのだった。
…轢かれるのって意外と痛くないんだな、なんて変な事を最後に考えて、俺の無意味な人生は幕を閉じた。
……そう、思っていたんだ。
「よお?聞こえてっか?」
そんな軽そうな声が聞こえて、目を開けるとそこには、6足の漆黒の竜が俺を覗き込んでいた。
「おっ、目が覚めたな!まずは自己紹介と行こうぜ斉藤 蒼真」
俺は、目の前の竜が何故自分の名前を知っているのか、謎に思いながら静かに言葉を待った。
「俺はお前が生きていた世界とは、別の世界に居る竜族っていう種族を作った神…"竜神ディアボロス"だ!」
目の前の存在が神だという事に驚きつつも、ディアボロスに質問を投げかける。
「はぁ…神様ですか。
それで、どうして俺は生きているのでしょうか?」
「反応薄っ!?神が目の前に居るのに反応薄っ!!
ま、まぁ、君は死んだよ。
今は魂をここに呼んだだけだから、幽霊みたいな状態だな」
俺の質問への答えに納得する。
「なるほど…それではどうして俺を此処に呼んだのでしょうか?」
「やっと聞いてくれたな!
俺がお前を呼んだ理由は、頼みたい事があるからだ」
ディアボロスさんは、そのまま話を続けた。
「遥か昔、世界が産まれる前の時代。
何も無い真っ暗な空間に、1人の最高神と8人の種族神が誕生した。
最高神は、世界を作り、種族神はその世界に住まう種族を作った。
そして、時は流れて今より100年前。
世界に稀に誕生する英雄と、存在そのものが厄災と言われる程の力を持つ竜族の力に、恐れを抱いた最高神は、竜族以外の種族にスキルという名の神の祝福を授け、その代わりスキルを持った種族には最高神を殺せないという呪いを密かにかけた。
その後、スキルを授からない竜族は、忌み子だと神託を授けることで、今では竜族は"神に見捨てられた劣等種"と蔑まれるようになってしまった。
そして、俺はもちろん他の種族神も、最高神の気分次第で自分の可愛い
ディアボロスから語られたのは、異世界の簡単な歴史だった。
俺は、聞いていた中で疑問に思った事を聞くことにした。
「封印されているなら、ディアボロスさんはどうして今此処に?」
俺がそう聞くと、ディアボロスはすぐに答えを教えてくれた。
「他の種族神が、僅かに封印から漏れ出る力を俺に渡してくれてな。
一時的に封印から出る事が出来てるんだ。
数分しかもたないがな」
そう言い終えたディアボロスは、俺に頭を下げた。
「斉藤 蒼真。頼む!
俺の…俺達の
そして、俺の
もちろん、その為にも俺から君にスキルを授ける。
もちろん、最高神のような呪いがあるスキルではなく、純粋な力としてのスキルを」
必死に頼み込むディアボロスを見た俺は、新たな世界、新たな種族としての生活…
そこに、初めて生きる目的を見つける事が出来た気がした。
その事に、つい口角が上がりニヤついてしまう。
だからこそ、ディアボロスの目を真っ直ぐ見つめて答える。
「竜神ディアボロス。あなた達の依頼、承りました。
俺は、あなた達に協力します!」
そんな俺の言葉を聞いたディアボロスは、頭を上げ、早速転生の準備を始めた。
「これから、蒼真は竜族の王族の長男として生まれる。
唯一、竜族でスキルを持った存在として。
スキルに関しては、今から行く世界には魔法があるのだが、その魔法の"ステータス"というもので確認することが出来るから、転生が終わった時に確認してくれ」
話を聞き終わった俺に、ディアボロスが指を刺す。
すると、俺の身体が銀色に光って、転生の準備が完了した。
「俺達の頼みを受けてくれてありがたいが、それだけに囚われず、第2の人生を心から楽しんで貰えると嬉しく思う。
斉藤 蒼真のこれからの人生に祝福を」
ディアボロスの言葉が終わると、俺の意識が薄れていき、俺の身体は粒子となって空に登って行った。
竜族の国〖ドミニク〗
王城のとある一室
「オギャーオギャー」
王城のとある一室に赤子の鳴き声が響く。
「元気な男の子ですよ陛下」
助産師である真っ白な竜が、赤色の鱗と赤色の目を持ち、背中から左右に2枚ずつ羽を生やす、尻尾が1メートル以上で、身体が15メートル程の四足歩行の竜と、白色の鱗に赤色の目を持ち、背中から左右に2枚ずつ羽を生やした二足歩行の竜の夫婦を見て、興奮したように言う。
「…これが俺達の息子か。美しいな」
父親がそんな言葉を無意識に零すほど、目の前の産まれたばかりの存在は、異常な程の美貌を既に持っていた。
純白の美しい雪のような鱗を纏い、神々しい金色の目を持った美しい竜が、自身の息子なのかと、驚愕と歓喜に包まれる心を暖かく感じていた。
「あの…この子にもやるのですか?」
1人の緑色の竜が口を開き、確認を取る。
「あぁ…期待はできないがな」
スキルの確認…今の世界では当たり前の行為。
しかし、スキルを授からない竜種にとっては、不必要なことだ。
しかし、竜族の歴代の王は、竜族にスキルを持ったものが産まれるという、イレギュラーがあるのかも知れないと考え、スキルが現れてから100年間、竜族も生まれた赤子がスキルを持つのか、確認を行う事を義務としていた。
その為、王は緑色の竜に頷き、生まれてきた愛しき息子に、スキルを確認する魔法を使う事を許可する。
「下級魔法 スキルビジョン」
緑色の竜が魔法を使うと、産まれてきた竜の上に半透明の板が現れ、そこに書かれている事にその場にいた全ての竜が目を見開いた。
〖
"
普通なら空欄であるはずのその板に、この世界で最高位に当たるスキルが表示されていた。
この時、ドミニク中に噂が広まった。
"竜王の息子は神に愛された神子である"と…
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転生したら、竜種が劣等種と蔑まれる世界だった〜規格外の竜による成り上がり〜 刀剣 夜音 @JIN-KOKURAI
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