第2話 貫通する
学年が上がりクラス替えがあったが、一番仲の良い友人とまた同じクラスになれたのは幸運だった。
「おお、助かる」
俺はそんなに人付き合いが得意というわけではない。広く浅くの付き合いは苦手だ。
別に人と話すのが苦手というわけではないが、踏み込むことも踏み込まれることも容易くとはいかない。
新しいクラスで、皆がお互いの立ち位置や距離感を探っているような休憩時間の事だった。教室後ろのロッカーに体を預け友人と話していると、なんか大笑いが壁を貫通してきた。
「なんかすごい笑い声が聞こえる」
「ぶっ、すごいゲラ笑いだな」
隣のクラスから女子の笑い声が聞こえてきた。こちらのクラスも休憩時間の騒がしさの中、壁の近くにいたとはいえ中々の声量だった。
「楽しそうでなにより」
俺の感想に友人が突っ込みを入れてくる。
「なんだその言い方」
廊下の扉も逆側の窓も開いているけど、さすがに隣の教室の会話までは聞こえて来ない。
盛り上がることもあるよな。そんな一時的な感想を抱いただけで、すぐに忘れるような出来事だった。
だけど、そんなことが何回かあったのだ。
何回かあると印象に残る。
そうして、ある日。
同じことが廊下を歩いてて、近くで起こった。
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