第3話
いつも思う。
他の人からしてみれば、何の変哲もないことだって。
だから、そこまで落ち込むことないんだって。
それでも、頭では解っていても割り切ってくれないのが自分の心ですよね。哀しいことだけじゃない、楽しいことだってそうなのだから。
切欠は、本当にちいさなこと。
他の人からしてみれば。
私。絵茉からしてみれば、ちいさいとか、おおきいとか。そう割り切ることもできない辛いこと。
歳は十六。高校二年生。
行けば楽しいと思うアルバイトも、行く前の辛さから逃げて、辞めてしまった。
きっと、言うんだろうな。
『若い子はしょうがない』って。
そう考え始めてしまったら、きりがない。早く忘れたい。けれどこの傷は大きい。私の未来にとって。
切りすぎた前髪が風に揺れて、気にする深爪が石鹸に沁みて、パリパリになっちゃう唇はどうしようもなくて、涙が零れそうな眸は他人を知らない。
「みつけた」
そう、この日まで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます