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人生のあまりの遠さ

人生のあまりの遠さ

脳幹 まこと

おすすめレビュー

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★★★
★41
14人が評価しました
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本文ありのおすすめレビュー

  • 橘夏影
    100件の
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    ★★★ Excellent!!!

    それはいったい、誰の人生なのだろう

    私の母も、オールドファッションが好きでした。

    『強くなったのは、一人になっても生きられるようにするためで、決して一人になりたいからではなかった』

    この言葉が世相を象徴しているかのようで、とても痛いです。
    みな、未来のために現在を投資し、気づけば大切なものをぼろぼろと零し、乾ききってしまう。
    その様が、涙すら枯らしてオールドファッションを食べる姿に重なり、それはもう切ないというような言葉では到底足りない。

    そしてそんな乾いたイメージと対になる水底の世界。
    水のイメージは、濡れてしまった、取り返しがつかないというイメージを喚起するとともに、浄化のメタファーでもあります。

    誰かに拾われることも、ひとつの救済なのかもしれません。
    しかしそれが望めないのであれば、水底で息をしながら言葉で世界を紡いだ先に、再生の兆しがあることを、私は、祈ってやみません。

    • 2025年4月1日 09:03