不良に跨った金髪の王子様
第1話
「護ってやるから
——離れんなよ」
後ろから差す光の所為かその金髪の所為か眩しくて、薄目のまま乱暴に撫でられた頭の感触と。
その背景でぶつかっては飛ぶように倒れゆく学ラン姿。
そして目の前では今、それらと無縁に取れる甘い甘い笑みを向けた男がそう口にしたところだった。
「——だ」
その男の節立った手には赤黒いナニカがべったりと貼り付いた別の男の髪が握られていたし、その男もまた、自分のものではないナニカで制服が汚れていた。
人と人が本気でぶつかり合う音は聴き慣れはしないが痛そうだと解るのはこの光景があるからだろうか。
「——いだ」
「あ?」
何、聞こえねぇよと顔を上げた男は手に掴んでいたものを棄ててこちらに近付き、汚れた手で無理矢理顎を掴んで持ち上げてきた。
だから見上げてはっきりと、大きな声でこう言った。
「上から目線の男は嫌いだと言った!!」
「…………ハ?」
ついでにその時のその男の表情も“忘れられないもの”となる、当時8歳の出来事。
最悪の為、最善を尽くします。 鳴神ハルコ @nalgamihalco
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