第3話

二人が副社長室を出て行った後席に着き、もう一度メールの文面を見返す。



「……、うん。多分、これで大丈夫…な筈」







——突然だが、




男性はドウテイのまま30才を迎えると、妖精か魔法使いになるという迷信があるらしい。




え、女性は?



女性は一体何になる?



該当者の私は、それが気になって夜も眠れなかった。



勿論あくまで迷信で、あり得ない事だとは解っている。解っているが、重要なのはそこじゃない。


そういった迷信がクスクスと囁かれる程、それ・・は世間から浮いた、奇異な事なのだと悟ったのだ。



だから、私は、焦っている。



恋人?


そんなものいない。今はいないどころかいた事がない。だから焦っている。



30才まで後三週間。その間にはクリスマスを挟むがその程度でこの鉄壁が崩れ、運良く恋人ができるなどという淡く浮かれた期待はとうの昔に置いてきた。

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