二日酔い“神崎くん”ちのプリン..
第80話
【 SIDE 神崎 】
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「若ー。コーンスープ飲みます?」
「…
何畳あるかなんて数えたこともない広々した和室。
その端っこに敷いた布団に埋もれたまま、何処からともなく聞こえてきた阿呆みたいな声に反応すると頭痛が走るように響いて、
より深く布団に埋まる。もう誰も俺に話しかけないでくれ。
「えっ!? 蜆スープ…? とは…?」
困惑する阿呆に歯を食い縛ると「味噌汁の具の話でしょう」と何とか代わってもらえた。
「ゥゥ…頭いてぇ…ばかやろ…二日酔いの“若”にコーンスープコトコトコトコト煮る奴が何処にいんだよ…」
「ああ!しじみの味噌汁っすね!…あっでも俺、今パン焼いちゃった」
「折角だからナズナが貰えば——」
「?
「何か、地響きが」
「はぇ?そんなん聞こえる? 俺味噌汁作ってくるわ! 若〜もうちっと横になって待っててくださいねぇ」
しかし実際はくそザコい質問で俺を起こしてきた阿呆のエプロン・ナズナが「ん〜♪」と音符を飛ばして出て行った後も“横になって待って”いる暇などなかった。
美鮫が目に見えない何かを察知してすぐ、その地響きは俺の敷布団越しの畳からも聞こえていて。
「かァァ〜〜んンンンざァァァァきィィィイイイ!!!!!クゥゥゥゥン!!!!!」
ダァーン!!!! と当然二日酔いの頭にもダイレクトアタックな効果音を響かせ、襖を蹴り飛ばし、とってもアグレッシブなおともだちが畳の上に転がった。
侵入をかましたきた成人男性(アラサー)の気配を足元に感じて未来に怯える。
「若ー。表にご旧友いらしてますけどー」
「ねぇ〜もう来たよ〜〜ねぇ〜俺見たくないんだけど。この家の警備緩すぎない?大丈夫? 心配になっちゃう、あと今からでもお帰りくださいって伝えて。呼び方怖いし、神崎くん二日酔いで寝込んでます、具合悪いですって」
「お。わかりました。若は二日酔いです」
「チガウチガウチガウ‼︎都合良いとこだけじゃなくてもっとちゃんと言って!!具合悪いですまで言って!!」
「え?」
「もういい俺が言う!!神崎くんは具合悪いです!!」
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