第61話
対照的な二足の靴が入った紙袋を手に下げた彼は、入店した時より…私でも気が付いてしまうくらい、遅く歩いてお店を出た。
その理由を思うのは、自惚れだろうか。
無駄な
視線の先に在った広場まで行って振り返った彼は何故か少し驚いたような表情をして、僅かに距離を縮めた。
「何、その顔」
「顔?」
また、綺麗じゃないと言いたいわけね。
そうして下を向きかけた頬は持ち上げられて、無理矢理目が合う。
「…は、まだ首痛ぇわ」
そう笑った花山院さんはやっぱり目を見張る程“綺麗”で。
だから、心臓が跳ねた。
「……だから、何なのおまえ」
『だから』と続けられてドキッとすると、「その顔やめろ」と意味のわからないことを言われて、首を傾げる。
靴、何も言わないけれど買ってくれたのかな…。
正直後が怖いけど、どのタイミングでお礼を云おうか様子を窺っていたつもりだ。
「キリ」
「はい…」
「家、行っていい?」
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