第56話
私を陰ですっぽり覆ったまま押して、本当に一緒に出てきてしまった超大型新人は見下すなり「何」と眉を顰めた。
こっちが何だよ!!
自分で言うのも何だけど傷心ほやほやで。ドアが閉まったらすぐにでもそっか 綺麗じゃない…って浸ろうとする気持ちがそこまで来ていたわけで。
ここで花山院さんも出てきたら彼女(百目鬼さん)の役にも立てないし、何か気まずいし、今すぐ戻るが最善!!
絶対煙草は今じゃない!!
と声を張り上げたかったがドア一枚隔てた向こうの西村嬢が何を思うかわからない。代わりに目で訴えた。
「……っ」
くっ、
背伸びして見上げる綺麗な顔が過去一鼻につく。
「ど・け」
も〜〜〜〜!!
悔しい気持ちを奥歯で噛み締めて道を空けるも、今度はサッカーボールを転がすように体当たりされ始めた。何だ何だ。
長い脚だな。スカ⚪︎ツリー跨げるのでは?
「イテイテ」
「煙草」
「はい? 私は吸いませんっそれに暇じゃな」
「暇、なったよな」
「そうでした」
蹴られながら「副流煙お断りです…」と項垂れながら、感傷にも浸らせてくれない新人は私を喫煙所へと雑に連行した。
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