第55話
パ ス ?
て…
私…しかいないよね、
大きな瞳が私を真っ直ぐ見つめて続けた。
「私、“綺麗”じゃないものに興味ないの。というか今、女も見たくない」
綺麗じゃない…。女…。
もちろん自分のことを綺麗だと思ったことなど生まれてこの方なかったけれど、人に、こう綺麗で可愛い女の子にはっきり言われてしまうと、流石の流石に突き刺さる。
しかも、
花山院さんは——
綺麗だから、
いいのか…。
「わかりました」
百目鬼さんがどうして呼ばれていたのか聞く前に、私だけが殆ど門前払いとなってしまった。
どんな理由であっても、あくまで先方が私では嫌だと嫌悪を表しているならそれに従うしか方法はない。
後輩の目の前で、後輩の方が綺麗だからいいと言われてしまったのだ。
不甲斐なさすぎて。情けなくて申し訳なくて、恥ずかしいの思いも混ざったまま花山院さんにお願いしますと小さく頭を下げた。
後退りするように「失礼します」と扉の前で再度会釈をし、ドアノブに手を掛ける。
すると背後から腕が伸びてきて、代わってドアを押した。
「…? 見送りならいらな」
「バーカ。一旦煙草吸いに出んだよ」
「は?」
どんな新人よそれ。
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