第46話

「何をっこのっ」


「それに、嘘吐きはおまえだろ。ぬくぬくしたいって言ったくせに」



身体の自由が奪われている。


喋られる度息がかかって熱い。



「違いますこんな、人の抱き枕にされることをぬくぬくとは言わない…!」


「あーそう。脱がされないだけ有難いと思え」



「ゔ〜〜!」


今日も今日とて朝から追い出せない悔しさに唸ると、男の指が首元の、例の虫刺されを撫で身体を揺らした。



「あ〜あ〜キリチャン今日も襟付き・長袖・長ズボンの遠足コーデで出勤するのな? オカワイソウニ」



他人事だと思って「昨日もなかなかばっちり固めて行ってたもんなァ?」と嗤っている。



そうだ、そういえばこの原因不明の痕。どうにかしないと…



それもそうだし、七万って何——!?

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