第45話

甘ぁい瞳。なのに背筋を冷たい指の腹で撫でられたみたいな感覚が走る。


分かり易く云うと、ゾッとした。

違う意味に聞こえる…。


顔というか、瞳だ。瞳がダメなやつだ。



「今しているのでお構いなく!」


流されないよう張り切って言うと、花山院さんは寝起きとは思えない緩ませた表情のまま口を開く。


「七万」



「はい?」


「さて問題です。この七万は一体何の七万でしょう」


問われた瞬間私の中でチッチッチッチ…とタイマーが秒針を刻み始めた。



恐らく、初めて。


聞くなとかでなくちゃんとした問い掛けをされて自分の中の好奇心が疼いた。



「はい終了ー」


「え!?」


クイズやる気あったのか、ニヤリとした花山院さんは包まっていた布団を剥いで私の腰を引き寄せ胸元に顔を埋めた。


「ギャアア!!」


電気ショックが走ったように背筋を沿って回された腕を握り抵抗するも、ガッチリ捕まえられていて脱力してしまう方が早かった。



「ほんっと朝からうるせぇな…おまえの方が俺がベッド入った瞬間真っ先に抱きついて来やがったぞ」


「嘘いわないでください!!」



再び抵抗を開始する。私だって朝からこんな体力費いたくない。体格差がエグいのだ。



「あー柔らけぇ。快適快適」

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